第十七話 巨大獣ゾゲルル シャールケンの怒り! 2
「な、何だいこの大漁の魚は……たまげたねえ……」
「辰五郎のおっちゃん、超電磁アミで捕らえた新鮮な魚だぜ。好きに持って行ってくれよ」
「オイオイ、好きにって言っても、マグロにクジラまでいるぞ……」
龍也の持って帰ってきた大量の魚はガッダインが急いで飛んできたおかげで、ほとんど傷んでない新鮮な状態だった。
「おう、わかった! 男辰五郎、この魚を村の奴ら全員に配ってくるとするぜ。みんな! 今日は宴会だー!」
幸い天気が良かったらしく、漁村の人達が全員、浜辺に集まった。
ガッダイン5によって捕ってこられた大量の魚は漁村のおばさん達とおタケさんが料理し、海鮮バーベキューと大きな浜鍋が用意された。
そこに強化合宿最終日のブルーマフラー隊も現れ、全員が料理に舌鼓を打っている。
「うめえ、これもこれもうめえ!」
ガンテツが手当たり次第に料理を食べている。
「ン! ンガッングッ!!」
急いで食べたもんだから、案の定喉につっかえてむせたようだ、言わんこっちゃない。
そんなガンテツを見てガッダインチームやブルーマフラー隊のみんなが笑っている。
やっぱりこういったコメディリリーフキャラがいると場が和むもんだ。
その様子を見て剣崎隊長は煙草をふかしていた。
昭和の時代のカッコいいイケオジと言えばやはり煙草がよく似合う。
まあ子供番組で酒は出すわけにはいかないので、カッコいい大人キャラのアイテムの定番が煙草だったって事だろう。
「面白い連中ですな、代々木博士」
「剣崎隊長、彼等はどうでしたか?」
「良い奴らだ。アイツらなら地球を任せるのもありかもしれないな。俺達ブルーマフラー隊はその後方支援を手伝おう。ダバール星人、だったか……その連中に地球人が人質になっているんだろう」
この流れは、中盤以降の大型宇宙船マグネコンドルが浮上した後の話になる。
本編では三島長官の直属部隊がマグネコンドルに乗り、奇岩島基地、ならびにデラヤ・ヴァイデスから地球人の人質を助け出す展開だ。
だが、今は三島長官の中のヤツがあのブキミーダだとすると、その展開は期待できない。
そうなると人質救出に一役買ってくれそうなのはこの剣崎隊長率いるブルーマフラー隊という事になる。
どうも本編でのゲスト登場よりもこの剣崎隊長の部隊が本格的に物語の根幹にかかわってくる可能性が高そうだ。
そうなると、俺達もこの剣崎隊長とはあまり敵対しない方が良さそうだろう。
――まあとにかくエリーザ様達には早く奇岩島基地に戻ってもらえないと、俺がマジでシャールケン提督にぶっ殺される!
早くマーヤちゃんに連絡を取って夜の内に帰ってもらうようにしなければ。
「マーヤちゃん、マーヤちゃん、聞こえるか?」
「はい、ご主人様。聞こえますよー」
「至急帰還するようにエリーザ様達に伝えてくれ、緊急事態だ!」
「わかりましたー。緊急事態だとエリーザ様達に伝えればいいんですねー」
わざわざそういう内容まで復唱しなくていいんだけどな……。
「ああ、頼む。今晩のうちに機動要塞ドグローンで奇岩島に戻って来てくれ」
「はーい」
本当にきちんと伝わっているかどうか不安だ……。
「エリーザ様ー。ご主人様が早く帰還しないと死ぬそうですー」
マーヤちゃん! 言い方端折らないでっ!
その言い方で伝わったとしても誤解された状態になるから。
「ブキミーダが? それはいただけないわね。わかりました、それでは今晩のうちに帰還しましょう」
「エリーザ様、ここはわたくしにお任せ下さい」
ほっ、まあミザーリンがこういう場合に一番話をキレイにまとめてくれそうだ。
「剣崎隊長、わたくしは彼女達を安全にご自宅に送り届けようと思いますので、こちらで失礼いたします」
「そうか、ご苦労だな。お嬢さん方、よくあの訓練に耐え抜いたな、貴女達がいればダバール星人との戦いも心強い、またいつかご協力、お願いします」
剣崎隊長がエリーザ様達に頭を下げた。
「――ミザ……青木さん。ワタシに少し時間を頂けますか?」
「はい、承知いたしました」
どうやらエリーザ様は奇岩島基地への帰還前に何かやりたい事があるようだ。