第十六話 巨大獣アジャール 三つ首の魔竜を砕け 6
ガッダイン5が大ピンチだ。
「グワッハッハッハッ! ガッダイン破れたりィ!」
ダンダル軍務卿は高笑いをしている。
これでガッダイン5が押しつぶされたら本当にオシマイだ。
「クソッ! マグネティックランサー!」
ガッダイン5はSランサーとNランサーを組み合わせてマグネティックランサーを作り伸ばした。
バギィイイン!
「よくやった! お前達っ」
ガッダイン5はマグネティックランサーをつっかえ棒にしてどうにか押しつぶしを免れた。
「くっそー、マジでペチャンコになるとこだったぜ!」
「龍也さん! 来ますっ!」
「何だって! ぐわぁあっ!」
巨大獣アジャールの火炎攻撃がガッダイン5を襲った。
この三つの首をどうにかしなければガッダイン5に勝ち目は無さそうだ。
「くっ、このヘリでは武器が無い……ここは俺達の出来る事が無いのか!」
「隊長、諦めたらそれで終わりです! それでも防衛軍の軍人ですか!」
「ケン坊隊員……そうだな、俺達の出来る事をしなければ!」
剣崎隊長はヘリで巨大獣アジャールの周りを旋回した。
「剣崎隊長、そのヘリには武器がありませんっ! 無茶ですっ」
「北原隊員、そんな事は百も承知だ。それでもお前達の代わりにオトリくらいにはなれる。俺がこの怪物を引き付けている間に何か打てる手を考えろ!」
流石は剣崎隊長と言うべきか。
彼は自らをオトリにしてガッダイン5への攻撃をさせないように巨大獣アジャールを引き付けた。
いざという時には自身が犠牲になっても勝利を掴もうとしている。
それに対してケン坊の中の三島長官も覚悟が決まっているようだ。
「剣崎隊長……くっそー! アイツ……どうやって倒せばいいんだよ!」
「龍也、おれがマグネティックアローを撃ってみる!」
「そんなのが通用するかよ!」
「やってみないと分からないだろう! マグネティックアロー!」
ガッダイン5から巨大磁石が巨大獣目掛けて投げられ、その磁石に向かってメタルダートが放たれた。
バギィイン!
「おい、穴が開いたぞ! アイツ……腹側の装甲を狙えば!」
「龍也さん、あの巨大獣、どうにか下に潜り込めませんか!」
「そう言われても……あの三角島の下から入らないと……」
「それですっ! それで行きましょう!」
竹千代が作戦を思いついたようだ。
「千草さん。足の部分を高速回転させることは出来ますか?」
「え、ええっ。まあ、出来るわっ」
「それでは両足のジョイント部分を両足高速回転させてください!」
「わかったわっ!」
千草がガッダイン5の両足を高速で回転させた。
「達也さん、ガッダイン5を足の部分から海に突っ込んでください!」
「わ、わかったぜ! いくぞっ」
ガッダイン5が下半身を高速回転させたまま、足から海に突っ込んだ!
「ダインビークルのドリルを出して、これで行ける! 龍也さん、このまま真上に向かって足から上昇してください!」
「わかったぜ!」
この様子を見ていたダンダルは大笑いしている。
「グワッハッハッハッ……。何だ何だ、曲芸でも見せようというのかッ?」
だが、その笑いはいつまでも続かなかった。
「喰らえ、回転ダブルレッグドリル!」
こんな技、本編では見た事無いぞ!?
何と、ガッダイン5はダインビークルの先端から出したドリルで三角島の岩盤を貫き、巨大獣アジャールの腹部側から一気に上空に飛び上がった!
ズガァアアアアンッ!
「なななな、何だとォオオッ!?」
余裕だったはずのダンダルだったが、ガッダイン5の予想だにしない動きに驚いていた。
「やった、ドテッパラに風穴を空けてやったぜ!」
「クソッ! 巨大獣アジャールよ、そいつ等を踏みつぶしてしまえ!」
「同じ手を何度も喰らうかよっ!」
ガッダイン5は巨大獣アジャールの前脚の下から一気に回転ダブルレッグドリルで風穴を空け、右前脚を破壊した。
「よーし、動けなければこっちのモンだぜ!」
ガッダインチームの反撃が始まるようだ。