第十六話 巨大獣アジャール 三つ首の魔竜を砕け 3
――ダンダル軍務卿――
後半でのガッダインチームの敵。
バルガル将軍と同じパワータイプだが、こちらは更に輪をかけた力押し。
アクラデス指令の弟でかなりの武闘派タイプだ。
本格的な出番は二十六話以降だが、この十六話でシルエットだけが出ていた。
見た感じはかなりの肥満に見えるが、贅肉ではなく筋肉ダルマといった感じだ。
マッチョでマッシブなバルガル将軍とは違い、身長は高いと言えば高いがむしろ横幅の方が大きい大柄といったイメージのキャラだった。
彼がこの十六話での巨大獣アジャールを動かしていたのだ。
さて、その巨大獣アジャール出現までにはまだ時間がかかりそうだな
俺は――ラゲンツォ(仮)――の設計図の続きを作るとするか。
そういえば、北原未来要塞ベースの様子はどうなっているだろうか。
俺はスパイドローンの映像を見てみた。
どうやら今は朝食の時間のようだ。
「アンタ達、よく食べるねえ。こちらも作り甲斐があるってもんだよ」
料理長のおタケさんが、マーヤちゃんやミザーリン、エリーザ様、それにフジ子達を見て感心していた。
マーヤちゃんは一応人間と同じ食事からもエネルギーを得れるタイプのアンドロイドだ。
排泄はしないが食べた物は燃料として体内で少しずつ燃やされ、彼女のパワーに変わる。
ブキミーダのヤツ、本当は自分の出したゴミを食べさせて廃品処理させる為にこのシステムを作ったらしいが、これがまさか彼女の地球潜伏の際に役に立つとは……。
「今日はケン坊くんのお父さんの持ってきた新鮮な魚も食べれるはずだから、晩ご飯期待していてよね」
「はいはーい」
「はい、わかりました」
だがこの後ケン坊の父親が現れ、――今日は魚が取れなかった――と伝えるのが十六話の冒頭だ。
お、噂をすれば何とやら。
ケン坊の父親が手ぶらで姿を現したみたいだ。
「おタケさん。すまねえ、今日は魚は無しだ。船を持って帰ってくるだけで必死だった」
「おやおや、一体何があったんだい?」
「海にバケモノが出たんだ! それも頭が三つもあるやつ」
どうやらようやく本編の十六話の話の展開になったようだ。
という事はダンダル軍務卿と巨大獣アジャールが到着したという事か。
彼等が奇岩島基地にやってくるのは二十六話以降、この話では様子見といったところだった。
「頭三つのバケモノ!? アンタ、寝ぼけて夢でも見たんじゃないの?」
「夢なんかじゃない! この男辰五郎、決して嘘はつかないのが信条でい!」
「まあまあ辰さん、あんたが嘘を言う人じゃないのは良く知ってるからさ……」
「しかしすまねいな。新鮮な魚をアンタ達に食わせてやりたかったんだが……」
ケン坊の父親、辰五郎は悔しそうだった。
「まあ仕方ないよ、アンタが無事だったんだから……船があればまた漁には出れるんだろ」
「そりゃそうだが、あのバケモン、どうにかしないととこちらも商売上がったりよ……」
「そうだ、代々木博士に言ってみたら? ガッダインに調べてもらえばいいんだよ」
「そうか、その手があったか!」
そして辰五郎は代々木博士に怪物を見た海域の話をした。
「ふむ、話はわかったぞい。その海域にいたバケモノか。ガッダインチームに調べてもらおうか。では早速彼等を呼び出すぞい」
代々木博士に呼び出されたガッダインチームは、全員がヘロヘロな状態だった。
「おっちゃん、冗談キツイぜ。こんな状況で出撃しろって……」
「腹減ったばい。今日は朝食べたっきりでごわす」
「そりゃ今昼前だけどよ……ちょっと人使い荒くないか?」
「お前達、何を言っている! 上官の命令に従わんかっ!」
鬼の剣崎隊長がガッダインチームに檄を入れた。
「当然俺も行く、俺は後方で偉そうに指示するだけってのが大嫌いだからな!」
そして剣崎隊長の操縦するヘリとガッダイン5は怪物の出た海域を目指して飛び立った。