第十六話 巨大獣アジャール 三つ首の魔竜を砕け 1
「やった! ガッダイン5が勝った!」
「オレ達助かったんだー」
「カッコいいー! ありがとー」
ガッダイン5は巨大獣ジャーゴンを倒し、北原未来要塞ベースに戻ってきた。
「龍也サマ……」
「エリーザ様、ここは長居すると危険です。マーヤのせいで地球人にわたくし達の正体がバレてしまうのは……」
「え、ええ。わかりました」
エリーザ様達は北原未来要塞ベースから脱出し、奇岩島基地に戻ってくるらしい。
そろそろ出迎えのドグローンが相模湾に到着する予定、そこまでは貸しボートで移動してもらおう。
「マーヤ、マーヤ……聞こえるか?」
「あ、この声はご主人様ー。聞こえますよー」
マーヤのリボン型アクセサリーはこういう場合の通信機にもなる。
でもマーヤちゃん、いきなり誰もいないのに何か話したらアブナイ子だと思われるよ。
「マーヤちゃん、誰もいないトイレかどこかに行けない?」
「わかりました、誰もいないトイレに行きます」
だーからー。わざわざそれを人に聞こえるように言わないで……。
「マーヤ、聞こえるな。エリーザ様とミザーリンをドグローンまで連れて行ってくれるか? 一応もう出迎えは出来るようにしているから」
「はい、わかりましたー」
本当に分かっているのだろうか……。
何だか不安だ……。
マーヤがトイレから北原未来要塞ベースの入り口に戻ると、巨大獣警報が解除された事で、海水浴客がぞろぞろと帰っていくところだった。
「おねー様。ご主人様が出迎えのドグローンを用意しているので帰ってきてくださいとのことですー」
「そう、ご苦労様。それじゃあ早く戻りましょうか」
だが世の中そうは上手く行かないものである。
水着姿のエリーザ様が龍也と二人で何か話をしている。
「龍也サン……」
「エリさん。キミを二回も危険な目にあわせてゴメンよ。でも、オレは絶対にダバール星人をやっつけて、地球に平和を取り戻して見せる! だから、エリさん、それまで待っていてくれ」
「そう、ダバール星人と……」
エリーザ様が悲しそうな顔をしている。
「キミも身内をダバール星人に殺されてしまったか! 大丈夫、オレが仇を取ってやる!」
いや、龍也くん。キミの目の前にいるのがそのダバール星人の司令官代理なんだけどね。
「紅井龍也ァ! 何、女とデレデレしておるかァ! 気合が足りんッ!!」
バギッ!
いきなり水着姿の龍也が誰かに殴られた。
「いてぇなぁ! テメー誰だよ!?」
「目上に対する態度がなっておらん!」
ドガッ!
今度は鋭い蹴りが入った。
「ひ、酷い……龍也サンに何をするんですか!」
「部外者は黙っていてもらおう。これは彼と俺の問題だ」
龍也を殴ったのは、剣崎隊長だった。
「立て、今日から三日間。お前達には我がブルーマフラー隊特別訓練を受けてもらう事になった! 代々木博士も了承済みだ」
「お、鬼の……剣崎」
「ほう、小僧……俺の名前を知っているのか。面白い、お前もこの特別訓練合宿に参加するか!」
ケン坊を見た剣崎隊長は彼の中に何かを感じたらしい。
「勿論だ! この身体を鍛えてくれ!」
「よし、いい心がけだ。……お嬢さん、貴女には別に参加しろとは言いません。これは男の仕事です!」
「そんな言い方って無いんじゃないですか、男だから女だからって……」
「ほう、それではお嬢さんもこの合宿に参加すると言うのですか?」
エリーザ様は剣崎隊長を睨み、答えた。
「はい、龍也サマだけじゃなく、あの千草って子も参加するんでしょう。それならわたしも参加します!」
「はいはいー、ワタシも面白そうだから参加しまーす」
「マヤ……」
「決まりね、それじゃあわたくしも参加という事で」
ミザーリンまでノリノリで何やってんだよ……!
「ほう、面白いことになって来たな。青木大尉、女子はそちらに任せるぞ」
オイオイオイ、本来の流れと全く違う方向に進んでるよ。
本来の十六話どこに行ったー??