第十五話 巨大獣ジャーゴン 海からの侵略者 9
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「アレが……ガッダイン5」
「エリーザ様、ここは危険です。すぐに避難しましょう」
「え。ええ。わかったわ」
エリーザ様とミザーリン、マーヤちゃんはブルーマフラー隊の隊員達に誘導され、北原未来要塞ベース目指して走った。
「いてっ!」
「マーヤ」
「おねー様、どうもやっぱりこの足、歩きづらいですー」
「仕方ないわね、肩貸してあげるから」
こう見るとミザーリンとマーヤが姉妹のようにも見える。
彼女達は北原未来要塞ベースを目指した。
「イチナナ! イチナナ! 応答して! ボクの声、聞こえないの?」
「…………」
だがイチナナは応答しなかった。
どうやら先日のグラビトンブラストを使った影響で、鉄巨人イチナナはフォートレスモードで休息しているようだ。
この状態のイチナナは丸一日動けない。
「大月隊員、ここは危険だ。すぐに離れないと!」
「でもこのままじゃあのおばさんのピアノが……」
フジ子はおばさんのピアノが気になってここを離れられないようだ。
「ですがアレを我々が運ぶとしても……とても時間が」
「……おばさん」
それを見ていたマーヤちゃん、何を考えたのか海の家に行っちゃったよ。
「これを、運べばいいのよね。えいっ」
「えええええーっ!?」
フジ子が先程のシリアスなイメージとはかけ離れた変顔でこの光景を見た。
いや、フジ子だけではない、ブルーマフラー隊もマーヤちゃんの常識外れの馬鹿力を見て変顔で驚いている。
「そ、それ絶対に落とすなよ……」
「うん、わかった。気を付けて運ぶねー」
どうやら本来おかしなバランスだったマーヤちゃん、ピアノの不安定な重量が追加された事で反対にバランスが取れているようだ。
マーヤちゃんは大きなピアノをそのまま両手で持って、北原未来要塞ベースまで運んでしまった。
あまりの非常識な状況にもう誰もが驚くどころではなかったようだ。
さて、一方のガッダイン5対巨大獣はどうなっているやら……。
「龍也、ここだと海水浴客や店に被害が出る、コイツを海の方におびき寄せるぞ!」
「わかった、流!」
「頼んだわっ。龍也っ」
いや何と言うか、水着姿でコクピットにいる千草ちゃん、マジで絵になるな。
そうそう、オークションで高値のついたセル画、このシーンだったんだ。
この戦闘中に受けたショックでビキニの上が一瞬ずれてしまう。
それを直すシーンで乳首が見えたのを俺は本放送で覚えている。
「鬼さんこちら、手のなる方へー♪」
「ガギャアアオオオン」
ガッダイン5におびき寄せられた巨大獣ジャーゴンは北原未来要塞ベースの見える海で海水を飲み込んだ。
これはハイドロブラストの準備だ!
別のスパイドローン映像から音声が聞こえてくる。
「アレがガッダイン5か、まるで素人の戦い方だな」
「まあそう言わないで欲しいぞい、剣崎隊長」
「俺に任せればアイツらも一週間で戦える戦士に出来るが、どうだ。預けてみる気は無いか?」
代々木博士と会話をしているのはブルーマフラー隊隊長の剣崎中佐だ。
彼は鬼の剣崎と呼ばれる程の軍人で、かなりの腕の持ち主。
その彼がガッダイン5の戦いを見て酷評しているのだ。
「まあもう少し彼等を見守ってくれると助かるぞい」
「わかった……」
巨大獣ジャーゴンのハイドロブラストがガッダイン5を襲った!
その水圧にガッダイン5は海中に沈み、ジャーゴンはそれを追いかけて体当たりをした。
「まったく見ておれん! 代々木博士……! マグネコンドルの武器は使えないのか!?」
「剣崎隊長……わかりました、そこのボタンを押してください。それはまだ未調整ですがマグネ砲の発射ボタンです」
「わかった。俺に任せろ……微調整が、これで……行くぞっ!」
北原未来要塞ベースの下部、海底に沈んだ部分から巨大砲塔が出現した。
「マグネ砲、発射!」
シュゴォオオオンッ!
海中を巨大な砲弾が突き進む、その砲弾はまるで動きを呼んでいたかのように巨大獣ジャーゴンの腹部に命中した!
「もう一発だ!」
さらに剣崎隊長はマグネ砲をジャーゴンの移動先に合わせて命中させた。
「すげえ……この腕、流以上だぜ……」
「龍也、そんな事言っている場合か! 一気に決めちまえ!」
「わかった! 超電磁……ウェエエブッ!」
ジャーゴンの巨体が超電磁ウェーブで捉えられた。
「超電磁! スマァァァッツシュ!!」
「ジャーァゴォオオンッ!」
ドゴォオオアアアン!
巨大獣ジャーゴンは水柱を上げて海中で大爆発を起こした。




