第十五話 巨大獣ジャーゴン 海からの侵略者 8
「渚姉さん……どうしてここに?」
「あら、流。今日はブルーマフラー隊の皆さんと合流して代々木博士に話をする為よ。こちらにいるのはわたくしのおともだちのエリさんとマヤさん」
「こんにちは」
「こんにわー」
ガッダインチームの男達が顔を赤くしている。
まあこれだけの美少女三人がいればそうもなるだろう。
一方、千草とフジ子とアチャコも男達に囲まれていた。
さながらここはミスコン会場かと言う位美少女率が高い浜辺になっている。
そんな中でフジ子は海の家に無造作に置かれたピアノに目が行った。
「あら? このピアノは??」
「これはね……出征したまま帰らなかった息子の形見だよ。もう弾く人もいないけどコレがあると息子が帰ってきてくれる気がして……」
「これ、ボクが弾いて良いでしょうか?」
「おや、お嬢ちゃん。弾いてくれるのかい。どうぞ、誰かに弾いてもらえた方が息子も喜ぶだろうよ」
ピアノの椅子の前に座ったフジ子の様子が変わった!
彼女は……見事な腕前で、英雄ポロネーズ、革命のエチュード、アラベスクといった曲を完璧に弾きこなした。
演奏が終わった時、海の家からは一切の音や会話が聞こえない無音になり……演奏終了後、大拍手が巻き起こっていた。
「凄い! まるで本物のピアニストみたいっ!」
「そんな事ありませんよ、父様の好きだった曲を弾いただけですし……」
白いワンピース姿のフジ子は何だか照れ臭そうにはにかんでいた。
海の家のおばさんは目に涙を浮かべて喜び、フジ子に感謝していた。
「さあ、今日はもう奢りだよ。好きな物食べてちょうだい!」
「こんなにいっぱい食べられませんよ」
「それならオイがごちそうになりますばい!」
玄太郎の登場に周囲は笑いに包まれた。
「アハハハハ……」
「エリさん、生きていたんだね。でもどうやって……」
「ミザ……渚さんが助けてくれたのよ、彼女のおかげでこうしてここで龍也サンといっしょにいれるの。ねえ、わたし達も楽しみましょう!」
どうやらエリーザ様は目的だった龍也と再会する事が出来たようだ。
今回は巨大獣を出す必要は無いかもな……。
――そう思っていたのだが、事態はそうは上手く行かないものだ。
俺は巨大獣ジャーゴンに仕掛けたカメラからも様子を確認した。
すると、そこに来たのはブルーマフラー隊の連中で、どうやら遠泳の最中でジャーゴンを見つけたらしい。
「サ! サメだァー!!」
「バカ、この海域にそんな奴いるわけないだろ」
「でもあの巨大なヒレ、どう見てもサメじゃないかと」
「ってそんな、デケェエエエッ!!」
ブルーマフラー隊の隊員は銃でジャーゴンに対抗しようとした。
「このっ! このっ! このっ!!」
「ギャゴオオオオンッ!」
あーあ、下手に攻撃しちゃったから、自動反撃モード入っちゃったよ。
「まるで効かない、というより……コレって金属で出来てないか?」
「という事はこれはサメじゃなくて……」
「「巨大獣だぁー!!!」」
ブルーマフラー隊は急いで海岸に戻り、浜辺の人達に避難を呼びかけた。
「巨大獣出現、巨大獣出現!! 海水浴客は直ちに北原未来要塞ベースに避難してください!」
「何だって!? 巨大獣だって??」
「龍也サン……」
「大丈夫だ、エリさん。オレ達があんな奴やっつけてやる!」
ミザーリンがキリっとした態度になり、水着の上に素早く軍服を着た。
「みんな、今状況はどうなってるの!?」
「はっ! 青木大尉、避難民の誘導は我らブルーマフラー隊が確実に犠牲者が出ないように行っております!」
「すぐに北原未来要塞ベースの剣崎隊長に確認を取りなさいっ!」
ミザーリンの地球防衛軍士官としての態度、サマになってるものだなー。
おや、どうやらガッダインチームが駐車場に泊めていたダインマシンに乗り込んだらしい。
と言うかお前らそれで海水浴に来ていたのか。
全員今回は水着姿のままコクピットに乗るみたいだが、これは本編でもあった仕様か。
「「「「「レーッッツ! ガッダイィーン!」」」」」
そしてダインマシンが合体し、ガッダイン5が完成した。