第十五話 巨大獣ジャーゴン 海からの侵略者 7
みんな大好き水着回です。
「おい、アチャコ。ちょっと落ち着け」
「にーちゃんには関係ないでしょ!」
「そ、そう言われればそうだが……」
ケン坊の中の三島長官は子供のフリが難しいようで何かぎこちない態度だ。
アチャコの本名は麻子。
本人があさこときちんと言えなかったのでアチャコがニックネームになっている。
このアチャコ、ケン坊の妹だが、彼が死んでしまった後のコメディリリーフとして登場したものの、あまり出番に恵まれず、後半には殆ど出番が無かった。
本来の安川氏はキャラデザとしてケン坊とアチャコは最後まで残したいと言っていたのだが、物語の展開上浜野監督がケン坊をすぐに死亡させて退場させてしまったので、アチャコの出番も出しにくくなってしまったのだ。
ガッダイン5大百科の項目も数行程度、少しおしゃまで千草の事をお姉ちゃんと言う女の子……という程度だ。
――だが、今はケン坊が生き残った為、話のコメディリリーフとしては良い存在になりそうな子だ。
まあ竹千代と年齢も近いからいい友達になれるかもしれない。
――なのに何故、竹千代が彼女と一緒にいるんだ!?
竹千代と一緒にいる少女は、フジ子・ヘミングウェイ。日本名だと大月フジ子だ。
彼女は、鉄巨人イチナナのマスターと言うべきか。
この彼女がここにいるという事は、近くに鉄巨人イチナナも確実にいるはずだ。
それよりも彼女の護衛のブルーマフラー隊が近くにいるはず。
「竹千代ぉ。可愛い女の子じゃんかよ。ジュース買いに行ってお前、なに女の子ナンパしてんだよ」
「そ、そんなんじゃありませんよ、彼女にはジュースを持ってもらっただけで……」
竹千代が顔を真っ赤にして反論しようとしていた時、とても大きな声が聞こえた。
「大月隊員‼ どうしたで有りますか!?」
「あ、大丈夫です。こちらは問題ありませんから」
海パン姿の屈強な男性達が何人も姿を見せた。
彼等は――ブルーマフラー隊の隊員達だ。
「キ、キミ……この人達とお知り合いなの??」
「ハイ、彼等はボクの仲間です。申し遅れました、ボクはフジ子・ヘミングウェイ。日本では母様の名字で大月フジ子と申します」
フジ子は深々と頭を下げ、ガッダインチームに挨拶をした。
「これはこれは、ガッダインチームの皆様。お会いできて光栄です! 自分はブルーマフラー隊隊員の岩田哲男と申します! 仲間にはガンテツと呼ばれております!」
「ガンテツさん。剣崎隊長は?」
「大月隊員、剣崎隊長は現在代々木博士と話があるとの事で、北原未来要塞ベースにおります。ですので我々は待機、その間は自由行動というわけであります!」
なるほどなるほど、ここで代々木博士と剣崎隊長が話をした事で本来の二十話のゲスト登場につながるわけだ。
つまり、原作では竹千代がジュースを買いに行かされなかった為、ここでのフジ子やブルーマフラー隊との接触はなかったというわけだな。
「そういうわけなので、自分達は席を外しますので、大月隊員も好きにしてください。ガッダインチームの皆様、是非彼女を頼みます」
「お、おいっ。ちょっと待てよ」
ブルーマフラー隊の連中はそう言うと遠泳をしに海に向かった。
あーあ、これ間違いなく剣崎隊長に後で怒られる流れだ。
「ご、ゴメンね。ぼくのせいで」
「いいえ、大丈夫ですわ。ほら、海の家に行きましょう」
ガッダインチームとフジ子、それにケン坊とアチャコが海の家に向かうと、そこには黒山の人だかりが出来ていた。
その中心には誰かがいるようだが……もう想像は付いた。
「お、おい見ろよ、あそこにいるの……三人ともメチャクチャ可愛くないか?」
「あ、アレは……エリさん!?」
「渚姉さん! 何でこんなとこに!?」
海の家では三人の美少女達がかき氷を食べていた。
そう、黒山の人だかりの中に居た三人は、エリーザ様、ミザーリン、マーヤちゃんだ。
彼女達はガッダインチームを見かけると、ニッコリと笑った。