第十五話 巨大獣ジャーゴン 海からの侵略者 6
黒歴史ロボ、絵を追加しました。
後々ペン入れと色付けする予定です
――ラゲンツォ――
俺が昔考えたロボットの名前だ。
言葉の意味なんて考えずにいかにもロボットシミュレーションゲームのボスに居そうな名前という事でそれっぽい単語を考えてみた。
――何考えてたんだ俺……。
ラ なんて、いかにもフランス語かラテン語での高貴とかって意味だと思って頭に付けて、ゲンツォってのは言葉が何となくカッコよく思える単語ってので考えたが、検索してもそんな言葉は存在せず、似ているゴンゾだとガラクタとか寄せ集めだった……。
何だよ!? 高貴なガラクタ寄せ集めってっ!!
まあ、これが世間の目を見るわけでないので俺は恥をかかずに済んだわけだが、まあ海水浴に行かなくて済んだ分、このロボットの設計図でも描いて暇つぶしするか。
デザインはかーなーりカッコいいと自負できるくらいだからなー。
俺は憧れの会社に入社出来たので、ロボット系シミュレーションゲームの制作班に行けるかと思いきや、全く別部署の現実に動くロボット制作チームに回された。
世の中そんなに甘くない……。
だが! 今のオレのこの立場! 実はかなりお得なものなのかもしれない。
だって普通なら作れない巨大ロボをやられメカとはいえ作れるポジションなんだから。
だったらいずれは俺のこの黒歴史ロボ――ラゲンツォ――を作っても問題は無さそうだ。
しかもこの黒歴史ロボ、更に強化されたラグ・ラゲンツォってのまで考えていた始末だ。
ラグって言葉が何となくカッコよく感じたのだが、意味を調べたら……遅れるとか、時間差、衰えるの意味だった。
さらに黒歴史だよ! 何だよ遅れる高貴なガラクタ寄せ集めって!?
まあこれは仮の名前で付けておこう、後でカッコいい名前を付け直せば良いだけだ。
さて、俺がロボットの設計図を描いている間に、女子三人はすっかり地球人スタイルに変装し終わったようだ。
ハッキリ言って三人ともメチャクチャ可愛い!
もしこれが平野作画のセル画だったら間違いなくネットオークションで天井無しに金額が上がりそうだ。
「これで海水浴場に行けますわね」
「ちょっとお待ちください、エリーザ様」
「え? 何か足りないのですか?」
「流石に海水浴場に水着そのままで行くのは地球人の常識としては……せめて上に何か服を着ないと」
オイオイ、水着の上に服を着るって、キミ達はどこかの女子高生ですか??
普通は更衣室で着替えるもんなのだけど、まあいいか。ツッコミ入れてたらキリが無い。
そしてエリーザ様、ミザーリン、マーヤちゃんの女子三人組は巨大獣ジャーゴンの中に乗り、相模湾の海水浴場を目指した。
どうせ負けるの分かってるから、帰りは機動要塞ドグローンを遠隔自動操縦にしておくか。
俺がスパイドローンで北原未来要塞ベースを見ていると、水着を着た上に服を着たガッダインチームが姿を現した。
オイオイお前らも同じレベルか。
まあすぐ近くに家があるのと一緒だからできる芸当だな、アレ。
シーズンの始まったばかりの海水浴場は人でごった返していた。
そんな中、水着姿の竹千代が人数分のジュースを運んでいる。
どうやら、じゃんけんに負けてしまったらしい。
「ひぃ、ひぃ……ぼく力弱いのに……何でこんなに、あっ」
竹千代は瓶のジュースを転がしてしまった。
「大変そうだね。持ってあげようか?」
「ありがとう、って。え? キミ……誰??」
竹千代の前にいたのは黒髪に青い目のハーフといったスタイルの美少女だった。
「ボク? さあ、そんなの誰でもいいじゃない。ほら、半分持ってあげるから」
美少女は竹千代の瓶ジュースを数本持ってあげた。
「たけちよにーちゃんおそーい」
「ごめんよー」
小さな女の子が竹千代にジュースを催促している。
この子はアチャコ、言うならばコメディリリーフ的存在のケン坊の妹だ。
それよりも、竹千代の横のこの美少女は!