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第十五話 巨大獣ジャーゴン 海からの侵略者 5

 マーヤちゃんには心配され、ミザーリンには呆れられ、どうにか俺は海水浴に行ける状態じゃない事をアピールする事に成功した。


 だが尋常じゃ無く腹が痛い……。

 この牛乳、俺がブキミーダに入れ替わってすぐの時の物だから数か月は経っている。

 そりゃあ腹を壊すわけだ。


 ミザーリンの俺を見る目が冷たい。

 何だか最近好感度が少し下がってきている様な気がするが、まあ敵視されるレベルじゃないからマシか。


「ブキミーダ様、何やってるんですか!? 仕方ないから今度からわたくしがお食事の管理をしますわ。手伝ってくれるわよね、マーヤちゃん」

「はい、おねー様」


 なんだか最近マーヤちゃんとミザーリンの距離が縮まってる気がする。

 まあ仲がいい分にはこっちが困る事ではないが。


「ブキミーダ! ブキミーダ。すぐわたしの部屋に来なさい」


 おっと、今度はエリーザ様のお呼びだ。

 俺はどうにかトイレを済ませてから彼女の部屋に向かった。

 今日はどうやら作戦会議室ではなさそうだ。


「失礼します」


 俺が部屋に入ると、部屋の中には――ビキニの水着姿のエリーザ様がいた!


「ねえ、これどうかしら?」


 い、いや。どうかしらと言われましても……確かに美しいですよ、ですが――青肌では地球人に見えません――っていうのも何だか烏滸がましいかと……。


「た、大変お美しゅうございます」

「本当!? これなら龍也サマに振り向いてもらえるかしら!」


 い、いや。この美しさ……龍也以外の男でも誰でも振り向くレベルだって。

 ただし肌の色をどうにかしてからだけど……。


「そうそう、今度はミザーリンを呼んでちょうだい。どうせアナタの部屋にいるんでしょう」


 俺の部屋がたまり場になっているのがバレバレだ。

 まあ彼女は俺の部屋にテレビとコンピュータービデオゲームがあるから来ているんだろうけど。


「わ。わかりました。すぐ呼んできます」

「頼みましたわよ」


 俺は部屋に戻り、ミザーリンをエリーザ様の部屋に行くように伝えた。

 どうやらマーヤちゃんも今回は一緒に行くようだ。


 でも流石にその水着姿で基地内を歩き回るのは……ちょっとなんだかなー……。


「エリーザ様、ミザーリンを呼んで参りました」

「ご苦労、アナタは少し席を外してもらえるかしら」

「承知致しました、エリーザ様」


 はいはい、この後はどうせガールズトークが始まるんでしょ。

 さて、俺はさっさと部屋に戻りましょう、また……トイレ行きたくなってきた。


 部屋に戻った俺は、監視カメラ越しに女子三人のガールズトークを聞いていた。

 ――決して変態覗き趣味でやっているのではないぞ! 今後の話の展開を考える為だ!


 って、俺は一体誰に弁明しているんだか……。


 女子三人のガールズトークは、海水浴場で何をするかって話だった。


「確か行く場所ってサガミ湾近くの海水浴場ですわよね?」

「はい、エリーザ様。北原未来要塞ベースの近くの海水浴場がオープンしたとの話です」

「スイカ割り楽しそうー」


 マーヤちゃん、キミ相変わらず空気読めない子だね。


 まあそんなとこがアホ可愛いんだけど。


「それで、ミザーリン。貴方の使っているクリーム、貸してもらえるかしら」

「はい、これは風呂や海水に浸かったくらいでは肌の色が落ちない科学班の作ったモノです。こうやって塗ると……」

「きゃはは、くすぐったいですわ。そ、そこは弱いの……だめぇー」


 いくらこの基地の各部屋が防弾防音だといっても、その声はどうしたもんだか。

 ミザーリンがエリーザ様にクリームを塗ると、彼女の青肌が綺麗な地球人の肌色に変化していく。


「安心してください、このクリームは別のクリームを使う事で元の色に戻せますから」


 そう言ってミザーリンはクリームをエリーザ様の二の腕の目立たない所に塗った。


「本当! わたしの肌が元の色に戻ったわ」

「エリーザ様、これで安心して海水浴に行けますわね」

「ええ、それじゃあ続きもお願いするわ」


 流石に全身裸になろうとしているのでこれ以上見ているわけにはいかない。

 さて、俺は今から自分の作ろうとした黒歴史ロボの設計図でも描こうかな……。

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