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第十五話 巨大獣ジャーゴン 海からの侵略者 3

 ――何度やっても思うが、このスタイルマジで犯罪にしか見えないぞ。

 不気味な外見の怪しい男が美少女の尻の所に手をやって脚を触っている。

 知らない人に見られたら百%通報確定案件だ。


 今俺がやっているのは、マーヤちゃんの脚部パーツのセッティングだ。

 本来マーヤちゃんはマーダーロイド、つまり殺人アンドロイドとして作られている。

 ポンコツメイドロイドとしての彼女は廃棄を免れた救済策というわけだ。


 ガッダイン5大百科の安川氏によるマーヤちゃんの設定画にはラフ画や準備稿のデザインが載っていた。

 本編でマーヤちゃんが下半身を付ける事は残念ながら無かったが、設定上のマーダーロイドとしてのマーヤちゃんはスラっとした長い足でキリッとした長身の美少女だった。


 設定上でしかなかったマーダーロイドのマーヤちゃんのスタイルを俺はいま再現しようとしている。

 まあ下手に能力を上げ過ぎるとマジで自覚無く周りを破壊しかねないので、バランス調整は微妙にしておこう。


 とりあえずは、一人ではバランスを取って歩くのに時間がかかるくらいの調整にしておけば殺人的足技は使えないだろう。

 少し可哀そうだがこれはあくまでも水着を着たいという彼女の為だ。

 俺はその為に鬼になる!


「ご主人様ー。少しくすぐったいですー」

「マーヤちゃん、もうちょっと我慢して」


 俺がマーヤちゃんの足を調整しているのをミザーリンは微妙な顔で見ている。


 まあ美少女にオッサンが手を出している光景が見てて気持ちの良いものではなさそうだが、何だかそういう雰囲気では無いんだよな……何でだろう?


 まあなんだかんだでマーヤちゃんの微調整はわざとバランスを完璧にせずに終了した。


「わぁ。これがワタシの足。素敵です、ご主人様ー」


 マーヤちゃんが両足を上げ下げして足の運動をしている。

 マーヤちゃんマジ美脚美少女。


「もういいかしら。とりあえず待ちくたびれたわ」

「あ、ああ。悪かったな、ミザーリン。最終チェックだけ終わらせる」


 俺はマーヤの背中の後ろにあるパーツを開き、パネルを調整した。


「さて、人工スキンカラーを地球人、肌色に調整……と」

「ひゃうっ……! ご主人様ー。くすぐったいですー」


 マーヤちゃんの人工肌の色が地球人のモンゴロイドとコーカソイドの中間の美肌に変化した。

 これがマーヤちゃんの特殊ギミック、スキンカラーコントロールだ。

 この機能を使うと彼女の肌の色はどんな色にでも設定できる。

 普段はダバール星人と同じ青肌にしているので、この色のマーヤちゃんは斬新だ。


「ご主人様ー。これが地球人の姿なんですね。少し変な感じですー」

「な、何この子……可愛いっ」


 マズいっ! ミザーリンに何か変なスイッチがはいってしまったみたいだ。


「おねー様。水着、着たいです」

「良いわよ良いわよ、さあ。それじゃあ水着を買いに行きましょう。服装はわたくしの物で良いわよね」


 何だかおかしな空気になっているのは気のせいだろうか……。


「ブキミーダ様、わたくし、マーヤちゃんとちょっと買い物行ってくるから。それまでに巨大獣用意しておいてもらえるかしら」

「お、おいおい。ちょっと待ってくれよっ!」


 だが俺の制止も聞かず、ミザーリンは足パーツを付けたマーヤを連れて水着を買いに出かけてしまった……。

 さあどこまで水着を買いに行ったか分からないが、その間に巨大獣を用意しておきますか……。


 さて、ガッダイン5大百科に出てきた巨大獣図鑑によると……。


 ――巨大獣ジャーゴン――


 全長64メートル、重量1800トン


 サメを模した形の巨大獣で海戦に特化している。

 海水を体内に取り込み、口から吐き出すハイドロブラストが必殺技。

 海水浴を楽しむガッダインチームのいる海岸に出現し、北原未来要塞ベースに海底から攻撃を仕掛けようとするが、海中で北原未来要塞ベースの実態を見てしまい、要塞の下部から攻撃を喰らう。

 その後潜水システムを破壊されてしまい、地上に現れたところをガッダイン5に超電磁スマッシュを喰らい爆発。


 そうそう、この話で初めて海中に沈むマグネコンドルの一部が見えたんだよな。

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