第十五話 巨大獣ジャーゴン 海からの侵略者 1
巨大獣バルバルの前に、地球のロボット軍団はもう反撃する力が残っていなかった。
「これで終わりか。地球の戦士達よ、よくここまで戦った。褒美に吾輩が誇りある死をくれてやろう!」
「クッ……オウ、マイゴッド……」
「行くぞっ!! まずはお前からだ!」
巨大獣バルバルのバルソードがグレートジャスティスに振り下ろされようとしたその時!
「――お願い! みんなを助けてっ!」
「……ラージャー。……グラービトン・ブラースト……」
あれは!?
なんと、俺がスパイドローンで見ていると、何も見えない遥か向こうから、黒い球体が巨大獣バルバル目掛けて放たれた!
「む、ぬぉぉおおおおっ! 何だこれはぁぁぁぁあ!?」
「すげぇ、何だ……アレ」
これは……! 巨大獣バルバルの右腕が巨大な重力球に飲み込まれ、バルソードだけを残して重力球に押しつぶされた!
間違いない! これは鉄巨人イチナナの最強技、グラビトンブラストだ!
しかし何故? 鉄巨人イチナナがこの作品に登場するのはあと数話先の二十話のはず……。
「くっ、まさかこんな伏兵がいるとは! 地球人よ、今回は退いてやる! だが次会った時はお前達の最後だ。首を洗って待っているがいい!」
バルガル将軍はそう言うと巨大獣バルバルを空に飛ばし、奇岩島基地に帰還した。
「た、助かったぜ……」
「しかし一体、あの攻撃は一体何だったのでしょう??」
「まあ、おれ達が助かったのは事実だな……」
俺以外はあの攻撃の正体を知っているわけが無い。
何故ならあの鉄巨人イチナナが登場するのは二十話なので、今から六話先の事だ。
鉄巨人イチナナは、イチナナフライトモードになり、地平線の彼方に消えていった。
イチナナは待機状態ではイチナナフォートレスに、戦闘モードでは戦斗巨人イチナナバトルフォーメーションに変形して戦う。
今俺が見たのはそのイチナナフライトモードだ。
だがこれの正体が分からない彼等にはあの謎の攻撃がどこから放たれたかわかるまい。
「ああーん、もう。バルガル将軍が負けるなんてー。……でも、龍也サマが大怪我しなくて良かったわ。あーん、わたしどちらを応援すれば良いのかしらー」
このダメ司令官代理、どうしたもんだろうか……。
まあとりあえず当面は地球側もこちら側もそう簡単に攻撃を仕掛けることは出来なそうだ。
とりあえずは地球防衛軍に潜入したミザーリンの報告を待つ事にしよう。
今回の話は本来、俗に言われるサービス回だ。
第十五話……今回は水着回、それも新鋭の美少女系アニメーターで大成する平野隆美の作画デビュー作だ。
彼は80年代を代表する美少女系アニメの作画監督としてブレイクする。
安川美人とは一味違った平野美人といった雰囲気の千草のビキニ姿のセル画は、ネットオークションで何と驚異の十万円越えだった!
この話、幻の……千草の乳首が見えたというシーンがあるのだが、DVDや配信ではその部分が修正されているらしく、本編のセル画がもし見つかれば下手すれば百万を超えるとも言われているくらいだ。
「ご主人様ー。また何か気持ち悪い事言ってますー」
「え? マーヤちゃん。俺、何言ってた?」
「えーと、――ビキニが何だの、チクビが何だの……」
「わーっ!! わーわーっ! そ、そうだ。マーヤちゃん、新しいゲーム作ってみたんだけど、やってみないか??」
――俺はどうにか誤魔化すことに成功したと思った。
「ご主人様ー、コレって何ですか?」
「これは、ダックマン。アヒルの頭の主人公がエサをパクパク食べるゲームだよ」
「わーい、面白そう」
ほっ、良かった……。マーヤちゃんの精神年齢がお子様で助かった。
「ご主人様ー、そんなに見たければマーヤが見せてあげますよ、チ・ク・ビ」
「何をいっとんじゃーお前はぁあー!」
ダメだ、マーヤちゃん……しっかりとさっきの話覚えていた。