第十四話 巨大獣バルバル 死の電撃作戦 9
「あーん、龍也サマー。なんて素敵なのー」
エリーザ様、ひょっとして俺にスパイドローンを一台寄こせといった理由、それですか……。
ダメだ、有能だと思っていたはずのエリーザ様はただのストーカー気質だったのか。
本編では一話限りのゲストだったので、こんな性格だとは全く分からなかったが、これはかなりアカン人だ。
「それより何なのよ、あの千草っておかちめんこ! わたしのほうが龍也サマの彼女に相応しいのに、そうだ……バルガル将軍に足の部分を徹底的に攻撃するように伝えようかしら……」
マジでダメだ、これ一番ダメなパターンの人だ。
てか、おかちめんこなんて言葉、よく知ってたもんだな。
まあテレビ番組とかでの女同士のケンカシーンで昔見た覚えあるかも。
確か――花の魔女っ子ララちゃん――でララのライバルのレンと取っ組み合いのケンカする時に――このおかちめんこ!――なんて言っていたかもしれない。
そのセリフを覚えていたとしたら、この言葉を知っていてもおかしくない。
――でもそれをわざわざ言うもんかなー、ってのが俺の本音だ。
お、バルガル将軍の巨大獣バルバルが無人島に着地していたガッダイン5達巨大ロボの前に降り立った。
「ほう、これが地球のロボット達か。あの張り子の虎の艦隊よりは楽しめそうだな!」
「へっ! 敵の親玉が登場かよっ!」
「吾輩の名はダバール星の猛将バルガル将軍也! いざ、尋常に勝負だっ」
バルガル将軍が巨大獣バルバルでバルソードを構え、叫んだ。
「ハハッ! これは強そうデスね。それではお相手いたしマスよっ!」
「何だキサマは!?」
「マイネームイズ、ハリー・キタムラ! ジェネラルバルガル! 行きマスよっ!」
グレートジャスティスのビッグショットガンが火を噴いた。
ドゴォアアアアアン!
爆炎の中で立つ巨大獣バルバルはバルソードでショットガンを防いだ。
「ほう、やるではないか!」
「ボク達のコンビネーションアタックを喰らえ! 行くぞ、メアリー」
「OK、兄さん!」
ゴライアスとコッペリアの二体が同じ動きで左右から襲いかかる!
これは息の合った双子だからできる攻撃でガッダイン5にはできない芸当だ。
「面白い曲芸だ、だがしかしっ!」
「「イクゾー!」」
「甘いっ!」
ガギィイイインッッ!
「「ウワァアアッ!」」
同時に襲い掛かったゴライアスとコッペリアの二体を巨大獣バルバルはバルソードの一閃で同時になぎ払った。
「非力なり、それで我が巨大獣バルバルの装甲を貫けると思ったのか!」
ガァンッ!
「油断……しまシタね!」
「ほう、吾輩を背中から狙うとは、敵ながらあっぱれ。だが、それが下手に自らの命を縮める事になるとはわからなかったようだな!」
巨大獣バルバルから大量のミサイルが放たれた。
ミサイルの絨毯爆撃はグレートジャスティスの全身をあっという間にズタボロにし、グレートジャスティスはその場に崩れ落ちた。
「くそっ! アイツ今までの巨大獣とは強さがケタ違いだ!」
「龍也さん、あの巨大獣相手に長期戦は不利です、ここは一気に決めましょう!」
「甘いっ! そうはさせんぞっ!」
ズバッッ!
「「「「「ウワァアッ!」」」」」」
ガッダイン5の左腕部分がバルソードで切り落とされた。
今まで巨大獣相手に苦戦したことの無かったガッダイン5の初めての大ダメージだ。
「クソッ! こうなったら超電磁スマッシュだ!」
「龍也さん!」
「クッ……龍也、任せたぜ」
「超電磁……ウェエエーブ!」
超電磁ウェーブが巨大獣バルガルを捕らえた!
「ぬううぅ!」
流石の巨大獣バルバルもこの超電磁ウェーブのホールドからは逃れられなかった。
「超電磁! スマァアアッシュッッ!」
「ぬぐぉおおおおおっ!」
ズゴァアアアン!
巨大獣バルガルが大爆発を起こした!
「やったぜ! ザマーミロ!」
「――龍也さん、様子がおかしいです!」
「な、何ですと、あれは!?」
爆炎の中に居たのは、装甲の剥がれ落ちた巨大獣バルバルだった。
「ほう、面白い。ここまでこの巨大獣バルバルを追い詰めるとは……だが、残念だったな。吾輩を仕留めるには至らなかったようだ!」
「バ、バカな……」
「こうなったら、ビッグミサイルを決めてやる! 行くぞ。ビッグミサイル!」
流が起死回生をかけたビッグミサイルを放った。
「ぬうううぉおおおっ!」
だがビッグミサイルはバルソードで斬られ、ガッダイン5達巨大ロボ軍団には――もう打つ手は残されていなかった……。