第十四話 巨大獣バルバル 死の電撃作戦 5
バルガル将軍は巨大獣バルバルの操縦席で不敵な笑いをしている。
彼の眼前には巨大空母、戦艦、重巡洋艦、駆逐艦、そして見えないが潜水艦の大構成が存在している。
「謎の巨大ロボに告げる……直ちに武装解除し、我々の指示に従え。さもなければ……!」
「ほう、これが翻訳機を通した現地人の言葉か。いいだろう、それでは返答してやろう!」
「何だ……通信だと!」
「バカメ! だ!」
バルガル将軍のこの挑発に対し、戦闘機群が威嚇攻撃を仕掛けてきた。
「ほう、ご挨拶だな。だが! その程度では傷一つ付かぬわっ!」
巨大獣バルバルが軽く腕を振るう。
するとF14とF15が簡単にへしゃげて壊れた。
「なっ!? 我が軍の最新鋭戦闘機が!?」
このF14、F15、当時の世界最強最新鋭の戦闘機だ。
防衛軍のスターファイターやファントムとは比べ物にならない高性能だが、巨大獣バルバルには全く歯が立たなかった。
「撃てっ! 撃てぇえ!! 撃ちー方―! 始めぇー!!」
バルカン砲、主砲、ミサイル、魚雷、あらゆる武器が一斉に巨大獣バルバル目掛けて放たれた。
それは全身ハリネズミのように全ての軍艦から放たれたが、大きな黒煙と炎を上げるだけで、バルバルには傷一つ付いていなかった。
「バカな!? ソユーズ連邦すら黙らせれる我が軍最強最新鋭の軍艦の攻撃が……全く効いていないというのか!?」
「フン、この程度でこの吾輩と戦おうとは、ずいぶんと舐められたものだな!」
今まで立っていただけの巨大獣バルバルがいきなり動き出した。
「さて、それではこちらもご挨拶と行くか!」
ズバッ!
バルバルの最強近接武器、バルソードが一閃で大型空母を切り裂いた。
「「「ウワァアアアッ!」」」
第二次大戦で不沈艦と言われたはずの巨体が中央部から真っ二つに割れ、船員達は次々と海に飛び込んだ。
日本軍の空母は三分で沈んだと聞くが、このバルバルの攻撃は一分と経たずに功労艦の不沈空母を撃沈させたのだ。
「これがこの国最強の力だというのか、何とあっけない」
「くそっ! 撃て、撃てぇー! 合衆国の底力を見せてやれ!」
終戦の調印式に使われた記念艦から主砲が放たれる。
だが、バルバルには全くダメージが無かった。
「次はコレか!」
バルソードが再び縦に振り下ろされた。
すると、戦艦の艦橋は斜めにずれ、そのまま海に沈んだ。
艦橋を失った軍艦は指揮系統を失い、海に浮かぶ標的でしかなかった。
「さて、何か他に使えるものは……これか!」
巨大獣バルバルの全身からミサイルが放たれた。
辺り一面に降り注ぐミサイルが駆逐艦や重巡洋艦を次々と沈める。
たったの数分で米国最強、いや世界最強と言われた第七艦隊があっというまに壊滅した。
「何だ、他愛ない。これ以上はテストにならんな。これ以上やっては弱い者をいたぶる事になる。吾輩が求めているのは同等の力を持った敵との戦いなのだ!」
第七艦隊を壊滅させたバルガル将軍は巨大獣バルバルで空を飛び、奇岩島基地に帰投した。
その場に残されたのは、惨々たる有様の第七艦隊の残骸だった。
その光景をスパイドローンで見ていた俺は巨大獣バルバルの圧倒的な力を確信した。
その少し後にどうやらガッダイン5とグレートジャスティスが到着したようだ。
彼等は生き残った軍人達を救援し、米国の軍港に向かった。
いや、モブに厳しいとはいえこれかなりの大損害でしょう。
確実に死者出てるわこれ……。
まあ戦争なので仕方が無いと言えば仕方が無いが、早くこの戦争を終わらせないと。
今は無理でもどうにか地球人側と接点を作らなければ。
俺は次にどうするべきかを考えていた。
やはり、ミザーリンに動いてもらう形になるのかな。
「ブキミーダ、ブキミーダよ、すぐに来なさい」
そう思っていた時、指令室のエリーザ様から呼び出しがかかった。