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異形は闇のなかに潜んでいた。
背の傷が痛む。普段ならこの程度すぐに塞がるはずなのに、この傷は治るどころか、時間が経つほど体を蝕んでいく。
久しく感じていなかった痛みに、異形は呻いた。そういえば、いつからこんな体になったのだったか。
あの日、磔にされ、何本もの槍をこの身に受けた。恐らくそれが最後の痛みだった。
「……」
暗い土のなかで意識を取り戻したときには、もうこんな体だった。だからこそ、幾度爪が剥がれても、光差す地上に向かって掘り進むことができたのだ。
それ以外のことは思いだせない。その必要もない。
北条一門を抹殺する。
それが全てだ。