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世界最強の暗殺者にとって、学園無双なんて簡単過ぎる仕事だろう?  作者: 座闇 びゃく
第二章

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四十一話 勝敗

 刃先がギラリと不敵に光った。秒数にして、五秒、四秒。三秒――と同時に着地した暗翔は、ただ一振り刃を振るった――気がした。

 瞬間、視界全ての【ヴラーク】が真っ二つに切られる。次いで、【ヴラーク】の頭部に刃が突き刺さった瞬間。


『【実践戦闘(ゲーム)】終了――勝敗エラー。ポイント計算不可能。短時間的な集中によるオーバーフロー。データ処理の再起動を開始します』


「おい、これ勝敗どうなるんだ?」


 観客の騒めきが辺りを占めた。前代未聞なのか、教師陣が一階フロアに集まっていく。その中に、猫先生の姿も窺えた。

 しばらくすると、突然アナウンスが流れた。


『【模擬戦闘(ゲーム)】終了――紅舞&暗翔&夜雪グループの勝利。三百九十点対百八十点』


「……は?」


「流石は兄様ですこと! また祝杯パーティーでしてよ」


「ったく、危なかったな」


 涼しげな顔を浮かべる暗翔と夜雪とは対照的に、紅舞は冷や汗を掻いた。点数から逆算すると、終了三秒前までは百五十点が、紅舞たちのポイントだった。しかし、終了後には三百九十点。二百四十点――約十二体を三秒間で処理したということだ。

 一瞬の静けさを要して、会場の掛け声は最大に達した。熱に浮かされている空間の中で、紅舞は一人思考にふけていた。自分達の勝利であることを忘れているかのように。

 ――あり得ない。ランク五が居た対戦相手ですら、一体を処理するのに数分を要していたのだから。暗翔の正確なランクは六? いいや、まさか……最高ランクの七?

 そもそも、刀を一振りしかしていないはずなのに、十二体全てを倒せるのだろうか。否――目で捉えることが不可能なほどに、刹那的な動きだったのかも知れない。


「何者なのよ、暗翔は……」

 

 内心で紅舞が震えていると、キィーンとマイクの入る雑音が鼓膜を貫いた。担任である猫先生が、マイクを握りしめている。


「あ、改めて……優勝者は『紅舞&暗翔&夜雪グループ』ですにゃ!」


「もう一つ良いニュースがあるぞ、猫先生」


「なんですにゃ……?」


 マイクを借りた暗翔が、口の端を不敵に吊り上げた。

 

「緊急告知だ。【アルカディア魔学園】及び【レグルス女学院】は全生徒が保有するランクポイントを賭けて、ランク戦を行うことになったぞ。詳しくは、理事長達と教師陣で決めてくれ。じゃあな」


 それだけ言うと、ひらひらと手を挙げて暗翔はマイクを返した。

 会場の盛り上がりは冷めることはない。一方で、猫先生含む教師陣は慌てるような表情を浮かべている。

 だが、暗翔は我知らずといった様子で、笑みを刻んでいた。 


「兄様、早速婚約指輪を買いに行きませんこと?」


「あれは冗談だぞ? 結婚する予定はないからな?」


「結婚をする気はなかったとしても、婚約はできましてよ兄様?」


「おいおい、待て。落ち着こうな夜雪……と、紅舞」


 空中に無数の火球を浮かべた紅舞は、肩をぶるぶると震わせている。


「朝起きたら居ないし、団体戦は忘れてるって? 許せないわ、えぇ……あたしの気が済まないの。少し熱いけれど、大丈夫よ。多分ね」


 パチンッ、と指を鳴らす。目標を失ったかのように、火球が地上へと降り注ぐ。しかし、炎の矛先は二階席の観客にも被害が広がっている。会場内が激しく揺れ、所々炎上が起こっていた。


「兄様、指輪はダイヤモンド? サファイアでもエメラルドでも良いですわ。それか、レッドダイヤモンドでも……どれにしましょう、兄様っ」


「それ、いま決めることか……? なんでこんなに話を聞かないんだよ、夜雪も紅舞も……」 


「燃えて灰になれば良いのよッ」


 暗翔が刀で火球を弾きながら、肩をすくめた。

 これが彼ら彼女らの日常なのである。

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