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世界最強の暗殺者にとって、学園無双なんて簡単過ぎる仕事だろう?  作者: 座闇 びゃく
第二章

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四十話 遅刻

紅舞視点



 暗翔らが【レグルス女学院】に立ち寄っている一方で、紅舞はというと、【ヴラーク】を相手に戦闘を繰り広げていた。正確には、【実践戦闘(ゲーム)】によって再現された【擬似ヴラーク】と言うべきだが。

 ランク三が二人、四が二人、五が一人。合計五人による団体が、相手チーム。加えて、団体のグループランクは三である。暗翔が準決勝で無双し過ぎたため、急遽ランク戦決勝の相手が変わってしまった。この勝負に勝てばランク四となる。

 どうやら、異例の対応らしい。まさしく規格外の男だ。


「なんであたしがその負担を一人で担うわけなの!?」


 眼前に迫った黒色の【ヴラーク】が、豪炎に飲み込まれる。さらに、近場に向けて炎で生成した槍を投擲。六体撃破。

 会場上部のスクリーンに、六点分のポイントが加点される。黒色の【ヴラーク】は一点、白色は二十点の計算。

 唯一紅舞にとって救いだったのは、ルール上直接的に相手を攻撃できないこと。しかし、妨害は可能だ。そのため、人数差がある分、時間効率にも限界がある。

 残り五分を切った瞬間、白色の【ヴラーク】が出現。現在の点差は二十四点。倒すことができれば、逆転の芽は十分にあるだろう。


「まだまだっ……!」

 

 対戦相手が既に攻撃を始めている。紅舞も参加し、遠距離から弱った瞬間を狙って横取りしようと思考していた。

 観客の声援や罵声が、会場の熱気をますます高めている。だが、一番の原因はやはり紅舞の能力(ギフト)だろう。『生命焔典(フレイム・エイター)』。炎を具現化し、自在に操る効果を持っている。

 灼熱の浜辺と化した会場で、紅舞は絶え間なく能力(ギフト)を扱っていた。足の動きが止まる。息が上がり、肩が大きく上下する。体力的にも精神的にも、限界が近いのかも知れない。

 最初はエリア全体を燃やして優位についていた紅舞だったが、今はその姿は衰退し、大きく点差が開いてしまっている。


「っ……あの二人はまだ来ないのかしらッ!?」


 朝方に連絡しても部屋には居らず、紅舞は仕方なく一人で団体戦に挑むしかなかったのだ。

 愚痴を吐きながら、唇を舐める。

 目標の【ヴラーク】が狼狽えたその瞬間。見逃すことなく、最大火力の火球を形成すると、会場を自体を飲み込む勢いで対象に向かう。欲望のままに物質を蓄え、肉薄した火球。だが、火球は触れられることなく壊された。


「っく……!」


 ランク五の相手によって、呆気なく凍らされてしまった。味方らしき人物がその隙に【ヴラーク】に攻撃を仕掛け、ポイントは相手に付与。

 点差は約五十点。制限時間は残り一分を切った瞬間、会場全域に、白い【ヴラーク】が大量発生した。圧倒的な光景に、思わず喉を鳴らした。これが【実践戦闘(ゲーム)】だから問題ないが、現実世界において相手する場合には、もはや逃亡した方が建設的ではないだろうか。

 苦渋の顔を貼り付けた紅舞は、姿勢を崩し膝をついた。余裕のある表情で、ハイタッチをしている姿を対戦相手は見せている。手は尽くしたが、これ以上は手に負えない。


「っ……」


 時間も残り少ない。負けを認めたくはない。だが、最初から人数差があったのだ。

 ここまでか――紅舞が空を仰ぐ。瞬間、天井が大きくへこんだ気がした。首を傾げた刹那、爆発的な音が会場を埋め尽くした。視界一杯に広がるのは、唐突に開けられた大穴と、降り注ぐ残骸の嵐。

 天井を形成していた壁は瓦礫となり、無数のゴミとなって落下していく。

 外界と繋がったその大穴から、残骸に紛れて二人の人影が覗いた。一人はスカートを恥ずかしげに押さえる銀髪の少女、片方は黒髪で片手に杖のようなものを掴んでいるらしい。

 映画のワンシーンとも呼べるような光景の中、男女二人は手を繋ぎながらゆっくりと地上へ向かっていた。


 「兄様、ここは……団体戦会場のようでしてよ? あら、紅舞さんもいらっしゃるようですわ」


 天井破壊によって音響機器が狂ったのか、二人の会話がマイクを通して会場全体に届く。

 

「あー、そういえば今日だったっけか? 団体戦の決勝って」


「対人戦……というよりも、あの【ヴラーク】を倒せば良いのではないでして?」


「夫婦漫才してる場合じゃないわよ、馬鹿兄弟っ! とにかく【ヴラーク】を倒して……時間がないから早くしてッ」


 全身の力を喉元に注ぎ、真上に向かって叫ぶ。


「あぁ、兄様とのウエディングロードはまだでしょうかっ」


「仕方ないな……夜雪、刀を俺にくれ」


「喜んであげますわ、兄様」


 やれやれ、と暗翔が呆れたような口調で発すると、黒紫塗りの刀が片手に納められる。

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