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世界最強の暗殺者にとって、学園無双なんて簡単過ぎる仕事だろう?  作者: 座闇 びゃく
第二章

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三十四話 明かされる正体

 握り締めたデバイスの学園内掲示板には、ランク戦の結果が表示されていた。ランク一の団体戦結果では、暗翔ともう一つの団体が決勝進出と書かれている。

 

「余裕だったな」


 手応えはあったが、それだけのこと。暗翔が本気を出すまでもなく、一分で決着が付いてしまった。猫先生の勝敗アナウンスは、若干引き気味であった。

 個人戦も決勝進出まで行き、ほぼ両方のリーグ戦において優勝は濃厚だろう。

 カーテンを閉め切り、静まった室内。月夜の灯りだけが唯一の光源だ。

 準決勝勝利後、暗翔は人工島内を駆け回ったが、一切二人の手がかりは見当たらなかった。まるで、存在そのものが消し去られたかのように、姿形を捉えられない。

 夜雪と紅舞――二人の身元は、暗翔自身の仕事にも影響を与えている。夜雪は自らが引き取った組織の一員、紅舞は護衛対象であるため。

 組織の回線に接続し、デバイスを耳に押し当てようとした矢先。手元が震えた。通知らしい。


「……これはっ」


 差出人不明のメール。画像が読み込まれると、燃えるような髪色の少女が倒れている姿が。紛れもない――紅舞だ。背景は薄暗くて確認取れないが、紅舞の手足には枷が嵌められている。

 何かに巻き込まれているらしい。

 続けて脅迫とも取れる文章に、暗翔の眉根が顰められた。


『画像の少女を助けたければ、指定した場所に一人で向かえ。大学側や組織への連絡、その他不審な動きを取った場合、少女の命はない』


 舌打ちをする。非常に状況が悪い。

 デバイスを握り締める腕に、力が入り込む。ミシミシと軋む音。

 護衛対象は未知の相手に捕らえられた。夜雪の姿は見当たらないが、恐らく同じような状況であろうことは予想付く。向こうは組織との関係性も指摘しているため、こちらの素性は知られていることを前提として、動いた方が良い。下手な行動は首を絞めるだろう。

 要するに――大人しく餌に釣られなければならないということだ。

 



■□■□




 指定された場所は、暗翔が通う【アルカディア魔学園】であった。

 廊下を進む足音の木霊が、孤独を感じさせる。真夜中のため、誰も人影は存在しない。まるで、異世界にたった一人取り残されたかのような錯覚に陥る。

 とある部屋の前に辿り着く。約一ヶ月、すっかり慣れついたドアノブに手をかけた。そう、犯人が待ち合わせにした場所とは、暗翔の教室であった。

 

「あら、早めの到着でして。墓場へようこそ、お兄様?」


「……夜雪か」


 月の明かりがぼんやりと教室内を包み込んでいる。外界の灯りに照らされた白銀色の髪が、辺りの環境とは対照的に、煌びやかさが目立っていた。

 教卓の机に腰を下ろした夜雪は、殺伐とした雰囲気を漂わすことなく、優雅にティーカープを唇に運んでいた。ミルクとレモンたっぷりの紅茶は、夜雪の大好きな飲み方である。アールグレイの苦味と深々な甘味が鼻をつつく。

 (かす)かに、頭がくらっとする。芳醇な香りのせいなのだろうか。


「紅舞さんはこちらに。事が済み次第に解放しますわ。勿論、お兄様の身柄と引き換えに、ですけれど」


 夜雪の足元には、倒れ込んだ紅舞の姿。意識は失っているようで、なぜか顔面にガスマスクが着けられていた。


「何の真似だ? 組織には歯向かう気か」


「まさか。兄様と永遠の愛を誓うためでしてよ」


「話は無駄なようだ」


「兄様もお分かりだとは思いますが、わたくしの能力(ギフト)は影を自在に操るもの。この教室内は、わたくしの支配領域ですわ」


 一度紅舞との【模擬戦闘(ゲーム)】で使用した夜雪の能力(ギフト)――刃が黒塗りされた刀。あれも影から形成した武器の一種に過ぎない。

 暗殺者を従える組織にとって、殺傷性や機動性が高い能力(ギフト)は重宝される。相手にして手強いのは言わずもがな。

 夜雪の姿が影に溶けた。本能に任せて左に飛ぶと、闇色の刃が肩を掠めた。続けて一閃が迫るも、刃先を切り上げて制御を失わせる。刃の持ち手目掛けて足を振り下げるも、(かわ)されてしまう。

 再び、夜雪の姿が揺れたと思いきや、消失してしまう。 


「影の中を移動する能力(ギフト)か。強力だが、俺を殺そうとするのには、少々舐め過ぎだろう?」

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