表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖天海武  作者: 弌樹カリュ
第一部 西海殿の武神官
25/27

24話 神殿からの使者

 ルルメヌォットの堪忍袋の緒が切れた。


 明らかに前怒ったときよりも更に進化していて、怖い。


(オレを捕まえてくれているシンの手が動いた気がするんだけど、きのせいだよな……)


 そこからのルルメヌォットの快進撃はすごかった。


 一発法術で火を放てば、黒いもやはたちまち姿を消す。

 かと思えば直ぐに体を取り戻し、ルルメヌォット相手にこわしていく「もや」を吐き出していく。


 ルルメヌォットは華麗にそれを避けていたが、対象物を失ったもやは街中にあたり、周囲の被害はそれは目も当てられないほどのものだった。


 がれきが、道が壊れていた。


 けれど幸いなことに、負傷者も逃げ遅れた人も誰一人もなく、黒いもやの討伐は終了した。


 神殿から神官が来ることになっており、それまでの間、がれきの撤去を手伝うことになった。



「あいつ、苦しんでた――」



 静客が切り出した。


 人影の黒いもやは終始、叫んでいた。


 不幸が降りかかって来た現実に耐えきれない、と言わんばかりのその様子に胸が痛くなっていた。



「黒いもやの人間なんて、って思っていたけれど、何よあんなの。アタシとロロちゃんの二人がかりでも倒すのに時間がかかちゃった。法具に慣れているアタシたちなら、って過信したわけでもないのに……」


「それだけ相手が強かったってことであろう? シン殿も静客殿も逃げ遅れた人々の支援、感謝する。機会を狙って術を放っていたことにも気付いていたぞ」


「そうか……」



 呆然としていて気返事だ。


 三十分もしないうちに神官を引きつれて住人が返って来た。



「ここに事態を知っている者はいないか。話を聞こう。って、なんでここに神官が――ああ。この前来たばかりの新人か? 神殿のいざこざで中に入ることが許されていなかったのか」


「そんなオレたちの話はいいからよ。なんで三十分も時間がかかるんだよ! 神殿のいざこざなんて街の住人にとってはどうでもいいことだろうが! 優先されるべきは、信徒たちの命じゃねえのかよ!」


「これはこれは匂って仕方がない」



 下人神のにおいがして叶わない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ