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ええ、とっても♡

 自室に戻りベッドに横になるとかけ布団の中に隠れていたマリー(吸血鬼)がそこから顔を出した。


「おかえりなさい、クーちゃん」


「ん? あー、ただいま。おやすみ」


「どうしてそんなにイライラしているのですか? またクレアさんに何かされたのですか?」


「まあ、そんなところだ」


「そうでしたか……。ところでおつかいの方はどうなりましたか?」


「今日、町で買ってきた薬草はミシェル様の部屋まで届けた。以上だ」


「いやいやいやいや、そうではなくてですね」


「分かってるよ、お前のおつかいのことだろ?」


「はい、そうです。それでどうなりましたか?」


 なんでそんなに目をキラキラさせているんだ?

 別に面白くもなんともないぞ?


「あー、まあ、その……商品として売られていたから全て回収した。以上だ」


「そうですか。えっと、回収したものは今どこにあるのですか?」


「私の体の中だ」


「便利な体ですねー。少し中を見せてもらいたいです」


「ダメに決まっているだろう。私をなんだと思ってるんだ?」


「私のごはん……いえ、キメラです」


 マリー(吸血鬼)、本音が漏れてるぞ。


「そうか。まあ、そんなことはどうでもいい。けど、私の首筋を見ながらヨダレを垂らすのはやめろ。というか、ミシェル様に頼めばいくらでも飲ませてもらえるだろう?」


「それは無理です。というか、もう二度と吸いたくないです」


「どうしてだ?」


「あまりおいしくないからです」


「おいしくない? 血はだいたいそんなものだろ?」


「いえ、吸血鬼には血の味が嫌でも分かります。血はその人を構成している情報の一つですからね」


「なるほどな。それで、あんまりおいしくない血の特徴は何なんだ?」


「自分より年上の血はマズく感じて、自分より年下だとおいしく感じます。つまり、クーちゃんは私より年下ということになりますね」


「私は自分が何年生きているのか分からないから年上とか年下とか言われても何とも思わないな」


「そうですか。クーちゃんらしいですね」


「そうか?」


「はい」


 そう、なのかな?

 まあ、マリーがそう言うのならそうなのだろう。


「ん? お前、私の血を吸っていないのに私の血の味が分かるのか?」


「ええ、分かりますよ。においで」


 においか……。


「私、そんなにいいにおいがするのか?」


「ええ、とっても♡」


 なんだ、その顔は。

 人の血のにおいを嗅いでうっとりするな!

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