暑苦しい
狭い……。
「今日はクーちゃんと一緒に寝たい!」と言い出したクレア(不老不死モンスターハンター)。
それに便乗してマリー(吸血鬼)が「なら私も!」と言った。
どうしてそうなるんだ……。
私は何度も断ったが、二人とも言うことを聞かなかった。
一人用のベッドに三人が横になっているため、かなり狭い。
狭すぎるし暑苦しい。
はぁ……どうしてこんなことに……。
「ねえ、クーちゃん」
「なんだ? クレア」
「クーちゃんはいつまでミシェル様の家にいるつもりなの?」
「ん? あー、そうだなー。女神様の加護とやらを使えるようになって、ミシェル様に勝てるようになるまでかなー」
「前者は可能だけど後者は多分無理だよ」
「どうしてだ?」
「ミシェル様の本気を誰も見たことがないからだよ」
は?
「さすがにそれはないだろう。あっ、そうだ。誰か魔王と戦っている時のミシェル様の姿を……」
「クーちゃん、魔王討伐は単なる暇つぶしだったってこと忘れちゃったの?」
「あっ、そういえばそうだったな。じゃあ、魔王より強い存在との戦闘で」
「そんなのこの世にいないよ」
「いないのか?」
「うん、いないよ。今のところは……」
「そ、そうか」
「はい、この話はもうおしまい。おやすみ、クーちゃん」
「あ、ああ、おやすみ、クレア」
私は私の血を吸おうとしているマリーを蹴り飛ばして失神させるとゆっくり目を閉じた。




