ごちそう
ミシェル様の家の中に入るとクレア(不老不死モンスターハンター)とマリー(吸血鬼)が出迎えてくれた。
『クーちゃん! 合格おめでとう!!』
「え? あー、ありがとう」
「さぁ! 座って! 座って!」
「あ、ああ」
クレアは私の背後に回ると私の背中を押し始めた。
私が椅子に座る時、彼女は椅子を引いてくれた。
クレアとマリーはずっとニコニコ笑っている。
いったい何がそんなにおかしいのだろう。
「わしが……いや、わしが作ったわしそっくりのゴーレムが作ったごちそうじゃ! たーんとお食べ」
「は、はい」
これが合格祝いというやつか。
うーん、なんだか照れくさいな。
ギリギリ合格だったからあまり素直に喜べない。
まあ、でもせっかく祝ってくれてるからありがたくいただくとしよう。
私はみんなと一緒にごちそうを食べた。
ごちそうはどれも普通においしかった。正直、お店を開いてもいいレベルだと思った。
まあ、ミシェル様がそれをしないのはお金に困っていないからだろう。
「クーよ、しっかり食べないと大きくなれんぞ!」
いや、私は一生このままなんですよ。
「は、はい」
「クーよ、お前には考えなくていいことまで考えるくせがある。今回もそれのせいでギリギリ合格となった。それは分かるな?」
「はい」
「うむ。では、これからどうすればいいと思う?」
「えーっと、それは……」
とりあえずできることをする、かな?
「目の前の問題に集中しすぎず、今自分にできることをやるくせをつける、でしょうか?」
「まあ、そんなところじゃな。よし、この話はもう終わりじゃ。さぁ! どんどん食え!!」
「は、はい」
この人は悩みとかあるんだろうか?
うーん、でもこの森を守るためにゴーレムを作ってるからきっと過去に何かあったんだろうな。
まあ、それが何かを知ったところで私にはどうすることもできないのだが。




