ギュッてして
命拾いしましたね。
誰かにそんなことを言われたような気がした。
誰に言われたのか。それが知人なのかそうではないのかすら分からなかったが、なんとなくそんなことを言われたような気がした。
私がゆっくり目を開けると、私から見て右側にクレア(不老不死モンスターハンター)が椅子に座った状態でうたた寝をしていた。
私は考えるより先に彼女の手を握っていた。
自分でもなぜそんなことをしたのか分からない。
けれど、誰かの体温を……温もりを感じたかったということだけは分かった。
「……クレア」
私の声を聞いた瞬間、クレアはゆっくり目を開けた。
彼女は私の顔を見るなり目を見開いた。
そして……。
「く、クーちゃん!? 良かった! やっぱりミシェル様を信じてよかった!! ミシェル様ー! クーちゃんが目を覚ましましたよー!」
うるさいなー。
あまり大声を出すな。
頭に響くから。
「クレア」
「なあに? クーちゃん。お腹空いたの? それとも」
「……ギュッてして」
「……え?」
「いいからさっさと私を抱きしめろ。今はそんな気分なんだ」
「クーちゃん……」
いつもの彼女なら発狂するようなことを言ってしまった。
どうしよう、私これから何をされるんだろう。
そんな不安が少しだけ私の中にあった。
しかし、そんな心配をする必要はなかった。
なぜなら……。
「うん、分かった」
彼女は欲望に忠実で基本バカだが、空気が読めないほどのバカではないからだ。
彼女はベッドで寝ている私をギュッと抱きしめると優しく頭を撫で始めた。
そこまでしてほしいとは言っていないが、別に不快ではなかったため続けさせた。




