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吸血木

 クレア(不老不死モンスターハンター)の話に寄るとマリー(吸血鬼)は吸血木にやられたらしい。

 吸血鬼が吸血木にやられる……。

 えっと、冗談ではなく本当にあったことなんだよな?

 ギャグとかネタでもなく、本当にそいつにやられたんだよな?

 まあ、それはどうでもいい。

 それよりも今はマリー(吸血鬼)をこんなに衰弱させたやつを一刻も早く倒さなければならない。


「よし、さっそくそいつを倒しに行こう」


「待って、クーちゃん」


「なんだ?」


「そいつは多分、夜にしか活動しないよ」


 クレアが根拠もなくそんなことを言う。

 いや、根拠はなくていい。

 なぜそう思ったのかを私は知りたい。


「なぜそう思うんだ?」


「えっとね、マリーちゃんの話に寄ると日中にはあんまり見ないモンスターたちがその木の近くにいたらしいんだよ。まあ、そのモンスターたちはだいたい手遅れだったんだけど」


 なるほど。そういうことか。


「そうか。よし、じゃあ夜になるまでマリーの看病をしよう」


「え? 私の言うこと信じてくれるの?」


「信じるも何も、お前は自分よりかわいいものを優先するだろ? それにお前が私に嘘をついて得をするとも思えない。理由は以上だ。他に何か言いたいことはあるか?」


「え? あー、えーっと、な、ないです」


「そうか。じゃあ、夜になる前に準備を済ませておいてくれ。まあ、いざとなったらこの森を一度火の海にするがな」


 クーちゃんはそう言うとマリーちゃんの様子を見に行った。

 なんだろう、信用されてるというより見透かされてるような気がする。


「ミシェル様」


「なんじゃ?」


「クーちゃんはいったいどこから来たんでしょうか」


「それをわしが言ってしまって良いのか?」


「いえ、やっぱりいいです。私にとってクーちゃんはクーちゃんですから」


「そうか」


 あいつにはまだまだ分からない部分が多い。

 しかし、別に全てを知ったからといって幸せになる保証はどこにもない。

 知らない方が良かったなどと後悔するくらいなら始めから知ろうとしない方がいい。

 まあ、わしにはできないがな。


「ところで、クーちゃんのあの格好は」


「あー、あれか。今日一日、あいつはわしのメイドじゃ。だからメイド服を着ているのじゃよ」


「そうですか。いいなー、今度私も頼んでみよう」


 クレアよ、無理に楽しい雰囲気にしようとするな。

 泣きたい時は泣いていい。

 泣くなと命令するやつがいたら、わしが消す。

 じゃから、空元気からげんきはやめておくれ。

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