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木の実
その日の夜、マリー(吸血鬼)は血(?)を吐きながらやってきた。
「おい、どうした。何があった」
「あっ、いえ、大丈夫です。ここに来る途中に見つけた木の実を食べたらあまりにもまずくて吐いただけです」
「そうかそうか。で? 今日は何の用だ?」
「あらあら、もしかして怒ってます?」
「ああ怒っているとも。だが、ミシェル様に勝つにはプライドを捨てなければならないということが分かった」
「そうですか。では、その調子で頑張ってください」
彼女はそう言うと逃げるように帰っていった。
「今日は伝言なしか。よし、明日はクレアの伝言が本当かどうか確かめるとしよう」
この時の私は気づいていなかった。
マリー(吸血鬼)が吐いていたあの赤い液体が木の実の汁なんかではないことに。




