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月光浴
マリー(吸血鬼)は森の中にある湖のそばで空を見上げていた。
「おい、マリー。こんなところで何をしているんだ?」
「月を見ているんですよ」
「月?」
今日は満月か。
なるほど。だから私の中にいるモンスターたちが興奮しきっているのか。
彼らにとって月の光は魔力の塊のようなもの。
それを一晩中浴びたら、そこそこ成長できる。
魔力量もそうだが魔力の質も向上するのだから、彼らにとっては恵みの光だ。
私は元人間だからよく分からないが彼らと感覚を共有しているため、なんとなく分かる。これはいいものだと。
「なるほど。お前は月光浴をしにここまで来たんだな」
「はい、そうです。クーちゃんやクレアさんに負けないように」
「いや、お前は私より強いだろ」
「それは夜限定です。昼でもボコボコにできるようにしておきたいのです」
「そうか。えっと、私も月光浴していいか?」
「私に許可を取る必要はありません。どうぞご自由に」
「そうか。じゃあ、遠慮なく」
私たちは一晩中、月の光を浴びていた。
ああ、なんかすごくいい気分だ。
ずっとここにいたいなー。




