証
あのロリババア、勝手に私を弟子にしやがった。
というか、女神様の加護ってなんだ?
私がそんなことを考えていると、うるさいやつが家に帰ってきた。
「クーーーーーーーーーーちゃああああああああああああああああああああん!! 大丈夫ー!?」
私はベッドから出ると、うるさいやつ……いやクレア(不老不死モンスターハンター)のみぞ落ちに蹴りを入れた。
「グェッ!? ちょ、ちょっとクーちゃん! 子どもできなくなっちゃうよー」
「黙れ! 変態!! 今私をめちゃくちゃにしようとしただろ!!」
「してないよー。ハグしようとしただけだよー」
「ほう、そうか。で? 本音は?」
「今すぐめちゃくちゃにしたいです!!」
「だと思った」
はぁ……この女はどうしてこう残念なやつなんだろうな。
私がため息を吐くとマリー(吸血鬼)がやってきた。
「クーちゃん、おでこ光ってますよ?」
「お前、目がおかしくなったのか? どうせ光を反射してるだけだ……ろ?」
私が額に手を当てると黄緑色の光が私の手の平を照らした。
「は? ちょ、なんだ? これ。私、こんなの知らない。分からない、分からない。分からない分からない分からない分からない分からない分からない……」
「クーちゃん、落ち着いて! それはミシェル様の弟子になった証だよ」
あか、し?
クレアは混乱している私をベッドに座らせると落ち着くまで背中を摩ってくれた。
そ、そうか。そうだったのか。あー、ビックリした。私としたことが思わず取り乱してしまった。
「あのロリババア、次会ったらボコボコにしてやる」
「それはあんまりオススメしないなー」
「なぜだ?」
「ミシェル様に一度も勝ったことないからだよ」
「あの『光化』というやつを使ってもか?」
「うん、無理。だって、あの人の体力と魔力と回復力半端ないんだもん。多分、このあたりでミシェル様に勝てる存在はいないよ」
あのロリババア、そんなに強いのか。
だが、あいつは少し前に失敗したと言っていた。
どれだけ強くても間違うことはあるということか。
「そうか。で? お前の証はどこにあるんだ?」
「え? あー、えーっとね、額にあるよー。ほら」
その直後、クレアの額から金色の光が放たれた。
その光の明るさは私の想像を遥かに上回っていたため私はとっさに両腕で両目を覆い隠した。
ま、眩しい。直視したら失明しそうだ。
「も、もういい! 眩しいからもう光らせるな」
「え? もういいの?」
「もういいと言っている! 早くしろ!」
「えー、もう少しちゃんと見てよー」
「見ようとしても眩しすぎて見れないんだよ! それくらい分かるだろ!」
「あー、そういうことね。なら、やめる」
クレアが額にある証を光らせるのをやめると、誰かが私に話しかけてきた。
「お前は私の力を欲するか?」
「ん? クレア、お前今何か言ったか?」
「ううん、私は何も言ってないよ。もちろんマリーちゃんも」
なら、この声はいったい……。
「あっ、もしかしたら女神様の声かもしれないよ」
「女神様の声?」
「うん。まあ、私の時は『クレアよ、お前は今から光だ』って言われたんだけどね」
そうか。お前の『光化』は女神の力なんだな。
で? 私にはいったいどんな力を……。
「そうか。これは女神の声か」
「ふむ、お前はまだ私の力を使いこなせるほどの技量はないな。その時が来るまで気長に待つとしよう」
「は? おい、ちょっと待て!」
「どうしたの? クーちゃん、そんなに慌てて」
「……今はまだその時ではないと言われた」
「そっかー。でも良かったね、目標ができて」
こ、こいつ!
私はクレアを殴ろうとした。が、この女に悪意はない。
そして私が弱いことも事実。
悔しいが、その時が来るまで修行するしかない。
「ああ、そうだな。クレア、一つ頼みがある」
「戦いの基礎を教えてほしい……でしょ?」
「こういう時だけ察しがいいんだな」
「まあねー」
「じゃあ、よろしく頼む」
「うん!」
できるだけ早く強くなりたい。




