女神様の加護
私はミシェルという幼女で魔女……幼魔女にこれまでのことを話した。
やつは自分の薄紫色の長髪をたまに弄っていた。
その動作に何の意味があるのかは分からなかったがやつのクセだということは分かった。
やつは私の話が終わると髪より少し濃い紫色の瞳で私をじっと見つめた。
「な、なんだよ」
「お前はかわいそうなやつじゃな」
「はぁ?」
「わしがお前の立場なら、おそらくとっくに心が折れている。記憶がほとんどなく妖精を根絶やしにするという目的のみで行動しているのだから」
「なんだとこのロリババア! 私は別に……」
「じゃが、お前は今ここにいる。なぜか? それはお前の心の支えになってくれる仲間……いや家族と巡り会えたからじゃ」
こ、こいつ、私が言おうとしていたことを先に言いやがった。
こいつ、私の心が読めるのか?
「キメラの娘よ」
「クーだ」
「ん?」
「私の名前はクーだ。キメラは種族名だ」
クレアよ、お前はやはり天才じゃ。
わしではこやつの心の支えになることはできん。
家族も無理じゃ。なれるとしたら、敵じゃな。
「そうか。では、クーよ。妖精を倒せる力があるとしたら、お前はそれを欲するか?」
「欲しい。どんなことをしてでもそれを手に入れる」
「そうか、そうか。迷いはないか。では、わしの弟子であるクレアに色々教わるといいぞ」
は? クレア(不老不死モンスターハンター)がこいつの弟子?
「弟子だと? あのクレアがか?」
「そうじゃよ。まあ、基本的なことしか教えてないがのー。ほっほっほ」
このロリババアが言っていることが本当なら、あいつがゴーレムに負けたのは基礎しか教えてもらってないということになるが……というか、なんであのゴーレムはクレアを攻撃したんだ?
こいつの弟子だろうと関係なく邪魔者は排除するってことか?
「まあ、あれじゃな。わしのゴーレムも完全ではない。敵だと認識したら、とりあえずそやつを殺すか敗北するまで追い続ける。邪魔者はとりあえず排除するし、そやつが何者だろうと排除する。それがたとえ、わしの弟子だったとしても」
「なぜそんな設定にしたんだ?」
「少し前、わしがゴーレムをただの守護者として操っていたせいで、この森が消滅しかけたからじゃ。まあ、この話はまた今度するとしよう」
「そうか。じゃあ、またな」
その直後、やつは私の額に自分の額を重ね合わせた。
「お、おい、いきなり何を……」
「抵抗するな。目を閉じろ。今からお前に女神様の加護を与える」
「わ、私にはそんなもの必要な……」
「早くせい。もたもたするな」
「わ、分かった」
私が目を閉じるとやつは額から何かを放出した。
目を閉じているせいでそれがどんなものなのかは分からなかったが、悪いものではないということだけは分かった。
「よし、終わったぞ。目を開けろ」
「あ、ああ」
「おめでとう。これでお前もわしの弟子じゃ。では、また会おう」
やつはそう言うと家から出ていった。
な、なんだ? やつはいったい私に何をしたんだ?




