雲行き
あっ、巨乳のお姉さんがクーちゃんを独占してる。いいなー、私もクーちゃん独占したいなー。
「ムメイ、ちょっとその場で屈みなさい」
「え? あー、うん」
デビルキャットのビィーちゃんは私の耳元でこんなことを言った。
「あれはヘスティアっていうかまどの神よ。あと、気に入った女の子を全員妹にするっていう噂があるわ」
「な、何それ。変なのー」
「笑いごとじゃないわよ。ご主人の顔を見てみなさい」
「えー? クーちゃんの顔ー? うーん、ちょっと嬉しそうだねー」
「ちょっとどころじゃないわ。このままだとご主人はあの女神の妹にされてしまうわ」
「えー、そうかなー?」
「なら、あの女神の目を見てみなさい。目の中にハートマークあるから」
「えー、そんなものあるわけ……あー、あるね」
「でしょ? ということで一刻も早くあの女神をなんとかしないといけないわ。さぁ、早く朝ごはん食べちゃいなさい。作戦会議するから」
「えー、あー、うん、分かった」
ビィーちゃんは心配性だなー。あのクーちゃんが女神なんかの妹になるわけないのに。
「おい、ヘスティア。あまり動くな」
「えー、別にいいじゃん。あー、かわいい。ねえ、クーちゃん。私の妹になりなよー」
「断る」
「えー、なんでー」
「お前の妹になったら堕落してしまうからだ」
「堕落かー。ねえ、それって悪いことなのかな?」
「なに?」
「堕落しちゃダメって誰が決めたの?」
「そ、それは」
「ねえ、クーちゃん。クーちゃんのこともっと教えてよ。ヘスティアお姉ちゃんが全部受け止めてあげるから」
「お、お前には無理だ」
「どうして決めつけるの?」
「ど、どうしてって、そりゃ」
「もしかしてクーちゃんの全部を知ったら私がクーちゃんを嫌いになるかもしれないって思ってるの?」
「え? あ、ああ」
「大丈夫だよ、クーちゃん。私は絶対クーちゃんのこと嫌いにならないから」
「ヘスティア……」
あれ? もしかして雲行き怪しい?




