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薬草

 クレア(モンスターハンター)が家に戻ってきた。

 薬草をりに行っていてはずなのに彼女は一つもってきていない。

 なおかつ彼女はケガをしているマリーに抱きつこうとした。

 いくらマリーが私よりかわいらしいとはいえ、今は本能に従うべきではない。


「それでケガの具合はどう? もう痛くない?」


「あっ、はい。えっと、あなたがクレアさん、ですか?」


「うん、そうだよー。かわいいものを見つけたら、とりあえずハグしたくなるクレアさんだよー」


 マリーは苦笑した。

 すまない、これがクレアという女なのだ。


「そんなことより薬草はどうした? まさかモンスターに遭遇そうぐうして、なんとなく戦闘になり、その時ケガをしてしまったから仕方なく使用したんじゃないんだろうな?」


「うーんとね、いつもの場所になかったから戻ってきたんだよ。いつもたくさん生えてるのに今日に限ってないんだもん。本当困っちゃうよー」


 この女は一応、モンスターハンターだから誰かの気配に気づかないということはないだろう。

 が、いつもの場所に薬草がなかった。

 これはマリーと関係あるのか? それとも別の何かが。


「けど、まあ大したケガじゃなくて良かったね。えーっと」


「あっ、私、マリーっていいます。しばらくお世話になります」


「あー、そうなの。うん、分かった。これからよろしくね」


「はい」


「クーちゃん、ちょっといい?」


「なんだ?」


「いいから、いいから」


 クレアは私と共にマリーから離れた。

 その後、彼女は小声でこんなことを言った。


「ねえ、あの子絶対お姫様だよね?」


「絶対とは言い切れないが、まあその可能性は高いな」


「だ、だよねー。どうしよう、私お姫様にハグしようとしちゃったよ。不敬罪で処刑にならないかな?」


「お前は不老不死だから大丈夫だろ。それにマリーはそんなことで怒ったりしないぞ。多分」


「多分って言った! 今多分って言った!」


 私たちがそんな話をしているとマリーが口を開いた。


「あ、あの」


「なんだ? マリー」


「お、お二人は仲良しなのですね」


「え? いや、全然」


「えー! そんなー! ひどいよ! クーちゃん。私とは遊びだったの?」


「誤解されるような言い方をするな!」


「あん♡」


 私が彼女の脇腹を殴ると彼女はなぜかあえいだ。

 なんだ? こいつ。もしかして変態なのか? まあ、それはいいとして。


「えっと、マリーはしばらくここに住むんだよな?」


「はい、そのつもりです」


「じゃあ、クレアに襲われないように気をつけろよ。こいつは万年発情期だから」


「は、はい」


「ちょっと! マリーちゃんに嘘教えないでよ!」


「嘘? 私は事実を述べただけだが?」


「うー! くやしい! 否定できないのが悔しい! けど、クーちゃんに言われるとドキドキする。もっと言って!」


「気持ち悪いやつだな、お前は。少しは自重しろ」


「はい!」


 こいつ、奴隷の才能があるな。

 まあ、おそらくかわいいもの限定だろうが。

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