金髪美幼女
私がクレア(モンスターハンター)と一緒に朝ごはんを食べていると誰かがやってきた。
おかしいな。この家に結界が……あっ、敵意や殺意がないと普通に認識できるんだったな。
弱々しく扉を叩いているその人物は扉の前でパタリと倒れた。
「クレア、お前はそこでパンでも齧ってろ」
「え? あー、うん」
私は扉の前まで向かうとゆっくり扉を開けた。
私は目線を下げながら、その人物が何者なのかを特定した。
「金色の長髪……身長は私と同じくらい……服は白いドレス……靴は履いていない」
「……たす……けて」
他人に助けを求めるな。
人は一人で勝手に助かるものなのだから。
まあ、幼い女の子にそんなことを言っても納得しないだろう。
「はぁ……はいはい」
私は彼女を家の中にあるベッドまで運んだ。
クレアはなぜかパンを喉に詰まらせていた。
「き、金髪美幼女だあああああああああああああ! うわあ、どうしよ! どうしよ! まだ心の準備ができてないよー!」
「クレア、お前はいったい何を言っているんだ? 早くこっちに来て、この子の手当てをしろ」
「あっ、うん! 分かった!」
この女のかわいいもの好きはどうにかならないのか?
まあ、どうにもならないだろうな。
私とクレアはその女の子の手当てをした。
まあ、膝を擦りむいていた程度だったのだがな。
しばらくすると、その女の子は目を覚ました。
「……ここ、は……」
「おっ、起きたか。体の調子はどうだ?」
「え? あー、はい、特にどこも痛くないです」
「そうか。それは良かった」
彼女は上体を起こすと私にこう訊ねた。
「あの、ここはいったいどこですか?」
「ここか? ここはクレアという女が所有している家だ。そして私はクーだ。お前の名前は?」
彼女は少し困った顔をした。
名前を……いや実名を言いづらい立場なのだろう。
「すまない。無理に名乗る必要はないんだ。そうだな、とりあえずマリーと呼ぶことにしよう」
「あっ、はい、そうしてもらえると助かります」
しかしまあ、あれだな。
ずっと何かに怯えているな。
口調が丁寧なのは元からなのか、それとも誰かにそうするよう言われたからなのか。
まあ、いい。どちらにせよ、私には関係ない。
「まあ、とりあえず匿ってやるから出ていきたい時は一言言ってくれ」
「あっ、はい、ありがとうございます。クーさん」
「クーちゃんでいい。さん付けはあまり好きじゃない」
「わ、分かりました。え、えっと……く、クーちゃん」
「うむ、それでいい。まあ、ゆっくりしていけ。ただし、クレアはかわいいものを見ると暴走するから気をつけるんだぞ」
「え? あー、はい」
そんなわけでマリーはしばらくの間、ここに住むことになった。




