薪割り
朝起きると家の中には誰もいなかった。
クレア(モンスターハンター)は早起きなのだな。
私が寝ぼけ眼を擦りながら起き上がるとベッドの上に置き手紙があった。
読み書きは誰かに教わった。が、それが誰なのかは思い出せない。
まあ、とにかく読もう。
「まきわりをしにいってきます……か」
薪割り……。
創造魔法が使えないといちいち薪割りをしないといけない。
無から何かを創造するのは難しい。
だから、それを使える者は少ない。
一応、私は使える。が、それをやるとかなりお腹が空く。魔力も結構使う。正直、使いづらい。だから使う時はめったにない。
私は背伸びをすると、家から出た。
朝日が眩しい。よう、太陽。今日はいい天気だな。
私は太陽に挨拶するとクレアを探しに行った。
「クレアー、どこにいるんだー。おーい、クレアー」
おかしい。返事がない。
あの女の地獄耳なら、すぐに私の居場所を特定できるはずだ。それなのにどうして……。
ま、まさか! またゴーレムに襲われて!
「あれ? クーちゃん、こんなところで何してるの?」
「クレア!」
私の背後にあの女はいた。
まったく、心配して損したな。
いや、損はしていないな。
とにかく無事で良かった。
「なあに? もしかして私がモンスターに襲われてるんじゃないかって心配してたの? ねえねえ」
「そ、そんなことはない。というか、お前は不老不死だろう? 襲われても大丈夫なはずだ」
「痛覚はちゃんとあるからそうでもないんだよ。だから、クーちゃんと出会う前は結構死にかけたんだよ」
「嘘をつくな。昨日、ゴーレムにボコボコにされていたじゃないか」
「うっ、そ、それは……」
「いいか。お前は基本、頭が悪い。だから、あまり一人で行動するな」
「はーい」
なんだ、その適当な返事は。
またゴーレムに襲われても助けてやらんぞ。
まあ、その前に倒すのだがな。
「さぁ、早く帰って朝ごはんにしよう」
「うん、そうだね」




