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暗雲

 人がたくさんいる。

 どこを見ても人がいる。

 人、人、人、人……。

 騒がしいというか、うるさい。

 雑音が耳の奥をぐちゃぐちゃにしていく。

 頭がクラクラする。

 これが人混みというやつなのか?


「クーちゃん、大丈夫? 手、握ってあげようか?」


「必要ない……と言いたいところだが、どうも人がたくさんいる場所は苦手だ。目的地に着くまで手を握っていてくれないか?」


 クーちゃんが私を頼ってくれてる!

 ちょっとずつだけど、心を開いているのかな?

 期待してもいいのかな?


「うん! もちろんだよ! あっ、歩くスピードはクーちゃんに合わすね」


「ああ、そうしてもらえると助かる」


 どうやらキメラになっても人だった頃の習慣やら好みやらは消えないらしい。

 あー、早く帰りたい。

 帰る? どこに? この女の住処すみかにか?

 まあ、しばらくはそこにいよう。

 一から寝床を作るとなるとそれなりに時間がかかるからな。

 はぁ……それにしても人が多い。

 こいつらはみんなひまなのか?

 まあ、こいつらはみんな必要なものを買いに来ているだけだ。

 別に悪くはない。が、一箇所に店を密集させる必要はないんじゃないか?

 ここを襲撃されたら非常にマズイことになるぞ。


「あっ……」


「どうしたの? クーちゃん。急に立ち止まって」


「急用ができた。お前はできるだけここから離れろ」


「え?」


「早くしろ。死にたくなければな」


「クーちゃん、私は一応クーちゃんの名付け親で保護者みたいなものなんだよ。だから、一緒に行かせて。自分の身は自分で守るからさ」


「……好きにしろ」


「うん!」


 私は……私たちは回れ右すると、こちらに向かっている暗雲の方へと向かい始めた。

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