不器用
ルナ(銀髪ロングの幼女)はかなり不器用だった。
不器用というか、そのへんにある道具が何のためにあるのかほとんど知らなかった。
いったい親はどんな教育を……。
うーん、もしかするとルナはあまり親に愛されていなかったのかもしれないな。
けど、選択権がないわけではないようだな。
この森にやってこなければ、ルナは今頃……。
「クーちゃん、次は何をすればいい?」
「え? あー、えーっと、今日はこれで終わりだ」
「終わり? 用済みってこと?」
「違う。今日できることはもう終わったから休んでいいってことだ」
「そっか。良かった……」
こいつ、ここに来てから一度も笑ってないな。
もしかして笑うことを許されていなかったのか?
「クーちゃん」
「なんだ?」
「ううん、なんでもない。おやすみなさい」
私はその場から立ち去ろうとする彼女の手を掴む。
「なんでもない? じゃあ、どうしてそんなに寂しそうな顔をしているんだ?」
「そ、それは……」
「ここにはお前を縛るものは何もない。だから、もう我慢するな。言いたいことがあるならはっきり言え。その方がすっきりするぞ」
「クーちゃん……」
ルナは私の手を握るとこちらに目を向けた。
「クーちゃんは私の髪、どう思う?」
「え? 髪? すごくきれいだと思うぞ」
「そっか。けど、この髪はね呪われてるの」
「呪われてる? もしかして髪が痛みやすいのか?」
「えっと……なんて言ったらいいのかな……。この髪はね、他人の生命力を吸って美しさを維持してるんだよ」
ほう、それは興味深いな。
「そうか。で? それがどうかしたのか?」
「え? いや、だって私と一緒にいたら早死にするんだよ?」
「ここにいる連中はみんな普通の人間じゃない。だから、お前が心配する必要はない」
「で、でも……!」
「今までのことはどうでもいい。ここでは他人より自分のことを優先しろ。やりたいこと、欲しいもの、叶えたい夢、とにかくお前は自分の欲望を解放しろ。我慢なんてするな。老けるぞ?」
「私の、欲望……」
「ないなら、ないでいい。見つかったら教えてくれ」
「え、えっと、じゃあ……一人だと寂しいから一緒に寝てほしい。ダメ、かな?」
「なあんだ、そんなことか。いいぞ、じゃあ私の部屋に行こう」
「う、うん! えっと、ありがとう。クーちゃん」
「どういたしまして」
こいつは一人にしたらダメなやつだ。
今はまだ……ダメだ。




