一応
「尊様!!あっちです!あっちからあまくてとってもおいしそうなにおいがします!」
「ルル。落ち着きなさい。甘味は逃げたりはしないよ。」
くすくすと笑いながら尊様がこちらに微笑みかけてくるので私は尊様の腕に抱かれながら満足そうに喉を鳴らしてしまった。歩くのが遅い私は尊様にだっこをしてもらいながら月に一度のバザールを楽しむのが最近のお気に入りになってしまった。それにこうしていると尊様の優しくて少し低い声が耳元で内緒話のように話してくれるのでなんだか大きな秘密を二人で分かち合っているような気がしてうれしくなってしまう。尊様は、身長が高いので普段見られないような世界を見せてくれるし、だっこされていると他の女の子たちや大きな女の人たちがうらやましそうにこちらを見てくるのでなんだかうれしくなってしまうのは秘密の話である。
「ほらルル。ついたよ。きゃんでぃーはうす,,,異国のお店なのかな?匂いは少しべっこうに似ているね。入ってみようか。」
「はい!!」
外観は色とりどりの動物や花を模した人形のようなものでこれでもかというほど飾られており入口のアーチは赤と白のねじれた棒のようなものがつけられていた。見た瞬間こんなにもキラキラしているお店を見たのは初めてだったので心が風船のように膨らんだ気がした。
尊様と一緒に入るとすぐにキラキラと甘い匂いが私たちを包んだ。そこは少し小さめの小屋のようなところで壁一面にはびっしりと瓶が並べられており、その中にはそれぞれ色や形の違う飴やらチョコレイトやらが入っていた。ドキドキしすぎてここで死んでしまうかもしれないと思い尊様の肩に額をぐりぐりとした。
「るる?」
心配そうにこちらをうかがう尊様。かっこいい。
「,,,ドキドキしてルルは死んでしまいそうです。キラキラがまぶしいです。、、」
私の言葉を聞いて一瞬唖然としたけれどすぐにフフッとほおを緩ませて
「それは困った,,,。ルルが死んでしまうなんて耐えられない,,,.よし。ではすぐにここから出なくてはいけないね。」
「あ、う、、、うぅみっ尊様は意地悪です!!もう知りません!!」
分かっているのに帰るなんて意地悪を言う尊様に対してぷりぷりと怒る。ついでにぷんと顔を勢いよくそらし起こっていることをアピールしておく。
「フフッごめんね。そんなに怒らないでよ。ルルのかわいい顔を見せて?」
尊様は、私の頭に口をつけながらこんな風に甘やかしてくれる。こんな風に接していい相手ではないのに私のことを甘やかしてくれる。
「むぅ、、、しっ仕方ないので許してあげます。ここでこのキラキラをたくさん所望します。」
まだ怒っています。という風を装ってついでに尊様に甘えておく。
「喜んで。」
二人で目を合わせながらプッと吹き出す。
ひげが真っ白な店主のほうに行き
「ここはどういうシステムなんだい?」
「いらっしゃいませ。軍人様。当店では好きな袋の中に好きなだけ甘味を詰めていただくか番号と重さをわたくし目におっしゃっていただけたらその分を量り代金をいただくというものになっております。」
「なるほど、、、ルル。どちらがいい?自分で詰めてみる?」
「はい!!!」
思わず元気よく言ってしまうくらいドキドキしている。
「はっ!!おろ、、おろして尊様」
足をパタパタさせると
「転ばないよう気を付けてね。」
「はい!」
おろしてもらいたくさんの瓶に入ったカラフルな丸をしたから見上げる。