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魔獣愛の強い俺が、魔獣たちと仲良くしてたら魔王と呼ばれるようになりました。ちょっと待って! 俺、ただの底辺テイマーなんだけど!!!  作者: 三原みぱぱ
第二章 二人の戦いの幕開け

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第87話 底辺テイマーは右腕を差し出す

「良いでしょう。シェリル殺害に賛同の人は手をあげてください」


 ガルダがそう言うと、自ら手を上げた。それと同時に隣にいる大蛇は手の代わりに尻尾を上げた。

 この二人は賛成だろう。

 ワタリガは黙って動かない。

 ここまでは予定通りだった。

 俺はハットンが手を上げているのを見て思わず声を上げた。


「何で、賛成しているんだよ」

「だって、暴食が死んだら、ダーリンはあたしひとりの物じゃない。反対する理由はないわよ。それに暴食だけ、ずるいじゃない」

「何がずるいんだ?」

「だって、ダーリンの左腕は暴食にあげたんでしょう。でもあたしは何ももらってない。」

「……わかった。ハットン、お前には右腕をやる。だから、反対に回ってくれ」

「本当に!」


 巨大なクラゲは身体を震わせて喜びを表していた。

 利き腕である右腕も失うのは正直、厳しい。テイマーである俺が両腕を失っては、契約紋と発生させることも出来ないだろう。しかし、たとえ両腕をなくしてもシェリルは救わなければならない。そもそも、あのダンジョンで俺は死んでいたはずだ。いまさら身体の一部やテイマーとしての職などに固執する必要もないだろう。

 俺は右腕をハットンに向けた。

 それを見て、シェリルは悲鳴にも似た声を上げた。


「マックス、止めて! ハットン、あんた、そんなことをしたらどうなるかわかってるでしょうね! グルル!」


 巨大な銀狼の姿のシェリルは、引く体勢で牙を剥いてハットンを威嚇する。

 街一つ滅ぼすようなじゃれ合う喧嘩は見たことあるが、本気の殺気を初めて見た。

 これを俺に向けられれば、身体は震え、立っていることすら難しいだろう。

 しかし、ここで仲間割れなど起こしていれば、俺たちの未来はない。


「シェリル、止めろ!」

「でも、マックス……」

「俺の言うことが聞けないのか!?」

「え、いや、そうじゃない……けど」

「これは俺が決めたことだ、シェリルは黙って従え!」


 張り付く喉で無理矢理に声を出す。

 初めて、シェリルに向かって、厳しい言葉を向けたのかもしれない。シェリルが俺のために言ってくれてるのはわかる。しかし、ここで引くわけには行かない。俺は眉間に皺を寄せながら、最大限の虚勢を張った。


「で、でも……」

「でももクソもない! ハットン、持って行け!」


 シェリルの言葉を無視して、俺は右手をハットンに差し出した。


「じゃあ、遠慮無くいただくわよ」


 そう言うとハットンは俺の右腕を飲み込んだ。

 透明なクラゲの身体の中で、俺の右腕は泡を立ててゆっくりと消化され始めた。


「これで、反対は二人だな。タマモ、お前が好きな、ドワーフの酒があるぞ。欲しければ、こちらに付いてくれ」

「嫌にゃう」


 俺の言葉に巨大な猫の魔獣はあっさりと俺の提案を無視した。

 ガルダと蛇はこちらに付くことはないだろう。だから、タマモが鍵になることはわかっていた。

 温泉で酒を飲み合った仲。ハットンに懐いていたように見えた。そして、ドワーフの酒で、こちらに賛同してくれる物だと思っていた。タマモにはどうしてもシェリルを殺害してい理由がないと、俺は思っていた。しかし、目の前にいる猫の魔獣はきっぱりと拒絶した。

 猫故の気まぐれか?

 では、なにがその気まぐれをひっくり返すことが出来るのだろうか?


「どうすれば、こちらに付いてくれる?」

「何をしても嫌にゃう!」


 まるで交渉の余地がないように拒絶の言葉を放つタマモに対して、混乱する俺。

 そんな俺に、タマモの気持ちを代弁してくれる人がいた。

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