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魔獣愛の強い俺が、魔獣たちと仲良くしてたら魔王と呼ばれるようになりました。ちょっと待って! 俺、ただの底辺テイマーなんだけど!!!  作者: 三原みぱぱ
第二章 二人の戦いの幕開け

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第80話 底辺テイマーは魔獣ワタリガに傷をつける

 俺は痛みも忘れて立ち上がった。いや、不思議と痛みを感じなかった。

 目の前の巨大な蟹に向かって走る。

 ダメージなど与えなくても良い。ただ、シェリルが逃げられるだけのほんの少しの隙ができれば良い。


「うぉーーーー!!!!」


 俺は叫びながらワタリガへ向かう。

 ワタリガは振り上げた爪を素早く納めて、盾を構えて俺に備えた。

 勢い余って、俺はその盾にぶつかる。ゴンと音を立てて、跳ね飛ばされた。

 もっと強い衝撃が来ることを予想していたのか、ワタリガは不思議そうな顔をして俺を見た。

 つまり、盾から顔を出したのだ。

 俺は左腕を構えた。いつの間にか、曲がっていた腕が戻っていた。

 撃てる。


「発射!」


 大砲を発射する。今度は腰を落として、両足を踏ん張って飛ばされないようして、右手で左腕を掴んで支えながら。

 タコの触手を吹き飛ばした俺の最大火力。

 倒せないまでも、ダメージは与えられるはずだ。与えられるはずだった。


「人間にしては、なかなか良い技を持っているな」


 一直線の傷がついた盾の陰からワタリガが、話しかけてきた。

 打ち抜けなかった。

 盾の傷から見るに、俺の一撃をその盾で逸らしたのだろう。冒険者パーティのリーダー、トリスが教えてくれたパリィと言う技だ。その技自体、相手の攻撃を読み切って、その力を受けるのではなく、受け流す、かなり難しい技だと聞いたことがある。巨大な身体で力技だけで無く、こんな器用なこともできるのか。

 感心した瞬間、俺の身体は吹き飛んだ。

 ワタリガの爪の一振りは、簡単に俺を吹き飛ばしたのだった。


「マックス!!!」


 シェリルの叫び声が、島に響き渡った。

 止めを刺そうと、その鋭利なハサミの先を俺に向けたワタリガに、シェリルは襲い掛かった。

 ゴン、と言う爆音とともに、シェリルの一撃はワタリガの盾を割った。それはちょうど、俺がつけた傷に沿って綺麗に二つに割れたのだった。


「ぐぬ!」


 その盾に絶対の自信を持っていたのだろう。ワタリガは悲鳴にも似た驚きの声を上げる。


「やるな。しかし、盾がなくとも、このハサミがある限り、ワシは負けん!」

「だったら、そのハサミも喰いちぎるだけよ」


 二匹の魔獣は最後の気力を振り絞って、激突する。

 突き、払い、挟むなどの多彩な攻撃を放つワタリガ。体当たり、爪による引き裂き、牙によるかみ砕きで対応するシェリル。

 長い戦いの末、二人の戦いは膠着状態に陥った。

 

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