第68話 底辺テイマーは港町に戻る
それから俺たちはあの港町へ戻ることにした。
当然、まっすぐ向かわず、一度、崩壊した草原の街へと足を向け、遠くから街の復興具合を観察して、港町へ向かうことにした。
草原の街は遠くを見る限り、魔獣災害から復興の兆しを見せていた。それは、俺の同郷の兵士がいた軍隊が復興を指揮しているようだった。これからは、彼らが上層部に連絡をして、復興隊も結成されるだろう。
そうなれば、またこの街を訪れることになるかもしれないが、一年以上は近づかないほうが良いだろう。どこで、シェリル達のことを知っている人間が現れるかわからない。
遠くから見て、満足した俺は港町へと向かうことにした。
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久しぶりにやってきた港町は慌ただしかった。前回来た時には活気があると感じていたのだが、今回は慌ただしいと言う言葉がしっくりきた。どこか街全体が殺気立っているようだった。
行き交う人は余裕がなく、あちらこちらで怒鳴り声が聞こえてくる。
俺はそんな街の雰囲気を肌で感じながら、二人に言った。
「なんだか、ゆっくり出来る雰囲気じゃないな。とりあえず領主のところに行こう」
「えー、ご飯食べてからでも良いんじゃ無い?」
海の幸が食べられると思っていたシェリルはがっかりしているのに対して、ハットンは港町を珍しそうにキョロキョロとしていた。
ハットン自身、俺と出会う前は街などに近づかないと言っていた。しかし、いくつかの街を一緒に過ごして、慣れたかと思ったが、何か気になるんだろうか?
「何か気になることがあるのか?」
「上から見ているのと、なんだか印象が違うのね」
「何だ、この街を知っているのか?」
「ほら、ここって海から近いじゃない。だから目に付くのよ」
クラゲの魔獣であるハットンは海の中にいることも多いのだろう。だから、海沿いのこの街は気になっていたのかも知れない。本当なら、二人ともゆっくりと街を回らせてあげたいのだが、とりあえず領主のところに行って、沈まない船の進水式のスケジュールを確認したかった。
「二人とも悪いが、先に用事を終わらせたいんだ。それが終わったら、ゆっくりと街を見て回ろうか」
俺は、二人に納得して貰い、領主の屋敷の前に到着した。
屋敷の前の守衛に、俺の名前を言って、取り次いで貰おうとしたが、どうやら所用で取り次げないらしい。アポも無しに領主へ面会をしようとする事自体が間違っているのだろうが、とりあえず、これで俺がこの街に戻ってきたことが領主にも伝わったことだろう。
俺達は今日の宿を取って、街をぶらつくことにした。
まずは、腹ごしらえをして、船大工の所を見学して、船の完成具合を確認することにする。




