第65話 底辺テイマーは新たな武器を手に入れる
ハットンに毒を抜いて貰ったが、三日も眠って体力が落ちていたのを感じていたが、シェリルに舐められていると、元気を取り戻してきた。決して下半身の話ではない。まあ、下半身も元気になったのだが。
「シェリル、ありがとう。元気になってきたよ」
「そう? まだ、舐めてないところがあるのに」
「いや、そこはここで舐めるのはちょっと」
そう言うと、物欲しそうに俺の下半身を眺めるシェリルの頭を、ランリーが叩く。
「そういうことは、私のいないところでやってくれ。まあ、元気になったのなら、新しい左腕の使い方を説明してもいいか?」
「ああ、何か変わるのか?」
今までは鉄の義手だとわかる見た目から、完全に普通の腕になっていた。指を開いたり閉じたりして見ると、右手よりも滑らかに動いた。
「ちゃんと動くな。ところで、その左手の武器を一度も使っていないだろう。どうせ、その威力を恐れて使わなかったのだろう」
「まあ……」
二人が喧嘩したときも、勇者と戦ったときも、タマモを前にしたときもその左手の武器を使うのを怖がり、使わなかった。魔獣の三人なら耐えるかも知れないが、無傷ではすまないだろう。勇者にいたっては死んでしまうかもしれない。そう思うと使うことが出来なかった。
「だから、その威力を上げておいた」
「なんでだよ! 反対だろう」
「それじゃあ、アップデートの意味が無いだろう。シェリルの細胞を組み込んでおいたから、球数制限もなくなったぞ。魔力を溜めておけば十発でも二十発でも撃てるぞ」
ランリーは嬉しそうに、新しいおもちゃの説明をするように使い方を説明してくれた。
ランリーのそんな姿を見て、ドワーフ族はもれなく、新しい技術の事になると我を忘れるのだと改めて認識した。威力が高くて怖くて使えないと分かっていても、なおも威力と連射性を上げるのはドワーフだからこそ、他の種族にその技術を渡すと、戦乱の元になると言うのが分かった。
「ふ~。それで、お前さんが使いやすいように、もう一つ武器を加えておいた」
「どんな武器なんだ?」
どうせドワーフ族の事だ、俺の想像している物よりも威力のある武器をつけているに違いない。
俺は油断せず、ランリーの言葉を待った。
そうすると、それまでは興奮気味に説明していたくせに、急に口数が減った。
「まあ、実際に使ってみた方が早いな。おい、マックス、シェリルの腕を掴んでみな」
「え、ああ」
俺は言われるままに、シェリルの手首を優しく掴んだ。
すると、ランリーがニヤリと笑って言った。
「じゃあ、起動するぞ」
「ぎゃ!」
ランリーの言葉と同時にシェリルが悲鳴を上げて、俺の手を振り払おうとする。




