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魔獣愛の強い俺が、魔獣たちと仲良くしてたら魔王と呼ばれるようになりました。ちょっと待って! 俺、ただの底辺テイマーなんだけど!!!  作者: 三原みぱぱ
第二章 二人の戦いの幕開け

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第58話 底辺テイマーは魔獣に共感する

「ところで、あんたいつもこの辺にいるの?」


 良い具合にアルコールが回った頃、ハットンがタマモに尋ねた。

 港町で仕入れておいた干しイカを口にくわえた猫獣人の姿をしたタマモは、きょとんとした顔をして答えた。


「いつもはいないにゃう。ただ、最近、この辺りに勇者が来ているって聞いたから来てみたにゃう」

「ああ、いたわね。あたしたちの正体を知って逃げていったけど、何か用があるの?」

「そうなのかにゃう。聖剣を持ってなかったかにゃう?」


 そう言えば、捨て台詞で聖剣の話をしていたな。ハットンの代わりに俺が答える。


「ああ、聖剣は持ってきてなかったぞ。今度会うときは聖剣を持ってくるって言っていたな? それがどうかしたのか?」

「持ってなかったのかにゃう。だったら、今は勇者不在の王都にあるのかにゃう。勇者が持っているときより、不在の宝物庫を狙った方が楽かにゃう」


 タマモは俺達の話を聞いて、少し考え込むと、立ち上がった。


「姉さん、また今度にゃう。マックスもお酒美味かったにゃう。暴食は……生きてたら、また会うにゃう。ちょっと王都に行ってくるにゃう」


 そう言って、巨大な黒猫の姿に戻ったタマモは大きく身震いをして、水滴を弾き飛ばした。

 そして、手を振るように長い尻尾を振ると、去ってしまった。


「なんか、嵐のような奴だったな」

「まあ、あの子は元々、気まぐれだからね」

「ねえ、ハットン。聖剣ってワタシたちでも使えるの?」


 シェリルは不思議そうに、タマモが駆けていった方を見ながら、呟いた。

 ハットンは大人の色気を醸し出すように、温泉に下半身を付けたまま、酒を一口飲んだ。


「知らないわよ。ただ、あの子は今の協会で一番若いから、なんか強くなる事にこだわってるみたいなのよね」


 魔獣は魔獣で悩みがあるのだろう。

 新参者は、自分の価値を周りに見せつけて、立場をはっきりさせないとやっていけない。

 テイマーとして色々な冒険者パーティに参加していた俺は、なんとなくタマモの気持ちが分かる気がする。


「みんな、頑張っているんだな」


 俺はなんとなくタマモに共感した。

 今度、会ったらゆっくりと酒を飲み交わしたいものだ。そうすると、もっと稼いで酒を仕入れないと行けないな。

 よし! 俺も頑張るか!


 そうして、この日はゆっくりと温泉を楽しみ、街へ戻ってきた。

 身体がふにゃふにゃになるほどリラックスしたあと、酒場で飲み食いすると、昨日よりもかなり美味く感じた。

 それは俺だけでなく、シェリルも楽しそうに食事をしていた。

 ただハットンだけが、いつもより食べる量が少なかった。


「どうした、ハットン。体調が悪いのか?」

「心配してくれて、ありがとう。でもお腹いっぱいなだけよ。ほら、温泉で」


 そうだった。ハットンは温泉水をたらふく飲んできたのだった。じゃあ、大丈夫だな。

 そんな風に食事をしていた俺達の耳に、ある噂が飛び込んできた。

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