第53話 底辺テイマーは野湯を目指す
一緒に温泉に入っていた白髪の老人の声に、俺も異変に気が付いた。
お風呂の水位がどんどん下がって来たのだ。
その様子を見てごま塩頭の親父が動いた。
「栓が抜けたのか?」
湯船を掃除するために湯を抜くための栓があり、それが外れたのではないかと確認をしたが、栓は抜けていないようだった。しかしその間にもどんどん水位が下がっていった。温泉水が止まったわけでも無かった。
俺が含めた三人が慌てていると、女風呂からも声が聞こえてくる。
「何やってるのよ。ハットン。どんどんなくなってるじゃない」
「ああ、ごめんごめん。加減するから」
「勘弁してよ。お湯が少なくなると、身体冷えちゃうじゃない」
どうやらハットンがお湯を吸いすぎたせいで、風呂の湯が減ってしまったのだろう。
シェリルの言葉に加減をしたのだろう。ゆっくりと湯が増えてきた。
「隣の姉ちゃんたちは、あんたの連れかい? ここの湯はみんなの物だ。勝手に持って行っちゃ困るんだよ。湯が欲しければ、山頂近くまで行きな、野湯があるから。そこなら好きなだけ湯を持って行っても、誰も文句は言わないぞ」
ごま塩頭がそう言うと、老人も頷いた。
「お湯の質も、ここよりずっと良いぞ」
「それはどこにあるんですか?」
俺はふたりに詳しい場所を聞く。今回はハットンのために温泉に来たのだが、そのハットンが自由に湯を取り入れられないなら、不満が募るだろう。それにお湯の質が良いのならば、そちらの方が良いだろう。
俺はふたりに声をかけると、温泉から出た。
それからしばらく馬車で登れるところまで登ると、昼食をとると徒歩で温泉を目指す。
温泉は山頂に向かう山道から離れたところにあった。
教えられなければ分からないような少しへんぴなところにあり、ここならば人が来ないだろうから、ふたりも気兼ねなくのんびり出来るだろう。
そこは人の手で作られたわけではない、自然とできた湯だまりにも関わらず、麓の温泉よりもよほど大きかった。しかし、脱衣所も無く、屋根なども人の手が入っている様子もない野湯。当然、男湯も女湯もない。見た目は乳白色の小さな池なのだが、湯気が温泉だとわかる。
俺が湯に手を入れてみると、少し熱めだが十分に入れる温度なので、二人に声をかけた。
「大丈夫そうだ……って、もう脱いでるのかよ」
二人はすでに服を脱ぎ捨てていた。
ハットンは真っ白な長い髪をアップにまとめて、形の良い胸と股を手で隠し、透き通るような美しい肌を晒していた。
シェリルも銀色の髪をそのままに、大きな胸を隠すでもなく、その健康的な裸体を晒していた。
俺に後ろからシェリルが抱きつくと服を脱がし始めた。
「ほら、マックスも服脱いで入りましょうよ」




