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魔獣愛の強い俺が、魔獣たちと仲良くしてたら魔王と呼ばれるようになりました。ちょっと待って! 俺、ただの底辺テイマーなんだけど!!!  作者: 三原みぱぱ
第二章 二人の戦いの幕開け

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第48話 底辺テイマーは魔王と呼ばれる

 一方的な暴力。

 俺が何をしようと空を切る俺の棍。

 そして一瞬で数発打ち込まれる木剣には、殺気がこもっているように思えた。いや、殺す気で打ってきている。

 何度か骨が折れた乾いた音が聞こえ、俺は痛みで地面転がると、村人から笑いと感嘆の声が上がる。

 しかし、数秒もすると痛みは引き、俺が立ち上がると勇者は再度、勝負を挑んでくる。

 勇者が強力な回復魔法をかけているのだろうか。

 しかし、いくら回復魔法をかけられたとしても、打たれたときの痛みが消えるわけではない。まるで俺の心を折るかのように執拗に勝負を挑んできた。


「俺が悪かった。勘弁してくれ」


 俺は左手を勇者に向けて助けを求めた。


「醜い腕だ」


 勇者はそうつぶやくと俺の左手の義手を砕く勢いで上段から振り下ろした。


「何してるのよ。マックス」


 その木剣をシェリルは片手で軽々と受け止めた。そして、勇者を見ることもなく、俺の情けない姿を見ていた。そして空いた手は俺に差し出されていた。

 俺はその手を取ることしか出来なかった。帰りが遅い俺のことを心配して迎えに来てくれたのだろう。


「なんだ、お前は」


 勇者は当然の疑問をぶつけたが、シェリルは勇者に全く興味を示さなかった。それが勇者の逆鱗に触れたようだった。勇者は木剣を捨てて実剣を手に正眼に構えた。

 

「あんたが、うちの人をこんなにしたの?」

「なんだ、お前は、と私は聞いているんだ。ドワーフの腕を持った男と人の姿をした何か。こんな田舎の街にいるとは……たまには王都から出るのも良いですね」


 勇者は俺の左腕の義手をドワーフ製だとはっきりと見抜いた。ドワーフの存在自体、おとぎ話の住人だと思っている人がほとんどの中、なぜ、断言できるのだろうか? 俺はシェリルに引き起こされながら、考えた。王都には色々な情報や知識人が集まる。もしかしたら勇者の知り合いにドワーフがいるのかもしれない。そうでなくても、何か文献でもあるのだろうか。しかし、ここで俺がドワーフとつながりがあることを認めるわけにはいかない。もしも認めてしまえばドワーフの村の場所を聞き出そうとする者がまた、現れてしまう。

 俺がどうやって言い訳をしようかと考えていると、シェリルは怒気を含んだ声で言った。


「この人をこんなにしたのは、あんたか、とワタシは聞いているのだけど」


 シェリルの長い髪は怒りで今にも逆立ちそうだった。

 そのシェリルの正面に立ち、勇者は答えた。


「そうだ、と言ったらどうする?」

「ぶっ殺す!」

「ただでは済ませませんわ!」


 シェリルといつの間にか勇者の後ろにいたハットンが同時に叫ぶと、勇者に襲いかかる。

 勇者はふたりから挟まれるのを嫌がり、大きく横っ飛びをして、距離を取ると、何やらブツブツと言い始めた。どうやら魔法を使い始めたようだ。


「ワタシに生半可な魔法が効くと思わないでよね」


 シェリルが単身、勇者に襲いかかる。

 勇者は床に向かって左手をかざした。


「スモッグ!」


 かけ声とともに勇者を中心に煙が発生し始めた。目くらましだ。その煙はどんどん広がり、広場中を覆った。


「ダーリン、落ち着いて。動かないで」


 いつの間にかハットンが俺の隣に来て手を握っていた。

 この煙に紛れて、シェリルではなく、俺が襲われるのをハットンは危惧しているのだ。確かに魔獣であるふたりを相手するよりも、俺を人質に取った方が効率が良いだろう。


 ワウォーーーーン!


 シェリルが大きく鳴いた。その勢いで煙は吹き飛び、視界はクリアになると俺は勇者の姿を探した。

 勇者はいつの間にか屋根の上にいた。


「申し訳ないが、魔獣ふたりを同時に相手するほど私は愚かではないのでね。それでは、次に会ったときは、聖剣で相手させてもらいますよ。魔王殿」


 そう言い捨てて、勇者は暗闇に消えて行った。

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