第42話 底辺テイマーは魔獣協会について尋ねる
シェリル抹殺のために他の魔獣が動いている? その原因がシェリルがあのダンジョンを出たからだと。つまりは俺が原因じゃないか。俺のせいでシェリルが刺客に狙われているなんて、自分が許せない。どうにかしないといけないと思った俺は御者台から、荷台にいるハットンの肩を掴んで尋ねた。
「ハットン、どうしたら、シェリルが狙われなくなるんだ?」
「なあに、大丈夫よ。あなたはこの馬鹿狼から離れれば安全よ」
「そうじゃないんだ。俺の安全なんてどうでもいい。シェリルがダンジョンを出たのは俺のせいなんだ。シェリルがそんな理由でダンジョンにいたなんて知らずに……だから、どうしたら、シェリルを助けられるんだ? 頼む教えてくれ!」
「な、なによ! なんで、こいつなのよ。あたしの事を綺麗って言ってくれたじゃないの!」
「ハットンの事は綺麗だと思うし、素敵な女性だ。だから、君が誰かから命を狙われているというのなら、守りたいと思う。でも、今はシェリルが危ないんだろう。だから、それをどうにかしたいという俺の気持ちも分かってくれ」
「え、綺麗、素敵って……」
透き通るような真っ白な頬がどんどん赤くなった来たハットンに、俺は頭を下げた。
「頼む、教えてくれ。俺はどうしたら良い?」
「大丈夫よ、マックス。こんな女に頭なんか下げなくても、ワタリガごときにやられたりしないわよ」
そんな俺の姿を見たシェリルが、俺の肩に手を当てながら胸を張っていた。
その顔は自信に満ちあふれていた。確かにシェリルがそう簡単にやられるとは思えない。それにワタリガを撃退しても、他の魔獣が来るだろう。
「シェリル。君の事は信用してるけど、命を狙われてなんかいたら気が休まらないだろう。なあ、ハットン、君はその魔獣協会の一員なんだろう。どうにか、ならないか?」
「どうにかって言われても……魔獣協会って五人の合議制なのよ。だから三人がシェリルの抹殺に反対すれば、会から狙われることはなくなるわよ」
魔獣の幹部五人のうち三人を説得すれば良いのか。
ならばまず、その五人を知る必要があるだろう。相手を知らない事には説得など出来るはずもない。
俺はハットンに五人の事を教えてくれとお願いした。
「幹部五人の事? 別に良いわよ。まず、議長のガルダは鳥の魔獣よ。彼が話をまとめて、彼を含めて五人の多数決で決めるの。そして、シェリルを追いかけてるワタリガは蟹の魔獣よ。甲羅も堅いけど、性格も堅くて、約束を破ったこいつの事を一番怒ってるのよ」
そうするとワタリガを説得するのは難しいか。話を聞いた感じでは議長のガルダは冷静そうだ。彼なら話を聞いてくれるかも知れないな。
俺が名前と性格覚えていると、ハットンは話を進めた。
「猫の魔獣のタマモは、気分屋ね。理屈じゃなく、自分の気分で決めるわね。そして、最後に蛇の魔獣のジャカツは陰険で陰湿で、あたしは大っ嫌い」
タマモは猫なだけに気分屋か。それならば気分を害さなければこちらについてくれる可能性もあるかもしれない。ジャカツはハットンがこれだけ嫌っているんだ。なかなか難しいかもしれないな。
ん、四人しか言われていないのに、最後と言っていなかったか?
「なあ、五人いるんだよな。鳥、蟹、猫、蛇の四人しか聞いていないが?」
「え! あと一人はあたしよ」
ハットンは何を今更といった顔で驚いていた。




