第41話 底辺テイマーは魔獣協議会の話を知る
「なんで、あんたはワタシたちを探してたのよ」
馬車に揺られながら、シェリルはボーと俺を見ているハットンに話しかけた。
「あなたたちじゃないわよ。この人を探してたのよ」
「だから、なんでマックスを探してたのよ。あんた、人間嫌いでしょうが」
「やっぱり暴食は食べ物以外には興味ないのね。人間ってひとくくりにしちゃって、可哀想に……ねえ、マックス、こんなワタリガに命を狙われている上に、頭の悪い狼なんて止めて、あたしと一緒に暮らしましょうよ」
「だれの頭が悪いのよ……そりゃ、良くはないけど、あんたに言われるほど悪くはないわよ」
「ちょっと待った!」
俺は手綱を握りながら、ふたりの話に耳を澄ましていた。そして、ハットンの言葉にやり過ごせない言葉を聞いて、慌てて聞き直した。
「シェリルが狙われてる? ワタリガってなんだ?」
「ワタリガがワタシの命を狙ってる!?」
俺の言葉にシェリルも気がついたように聞き返した。そして、その声には驚きと戸惑いが含まれていた。
「何でワタシが狙われるのよ。それもワタリガなんかに!」
「え、仕方がないでしょう。会で決まったんだから」
「会なんてまだやってたの? それより、なんでワタシが……」
「ちょっと待ってくれ! ワタリガとか会とか何のことだ? 俺にも分かるように説明してくれ」
焦るシェリルとそれに冷静に答えるハットンの言葉を、馬車を止めながら俺が遮った。
なぜ、誰が、何の為にシェリルの命を狙っていると言うのだろう。それをハットンが知っているようだった。
「お願いだ、教えてくれ。なんでシェリルが狙われる?」
「あら、あなたにお願いされたらしょうがないわね。そもそも、こいつがなんでダンジョンに閉じ込められたか知ってる? その昔、こいつが好き勝手に暴食の限りを尽くしたからなのよ。人だけじゃなくて、生物という生物を。だから、あたしたち魔獣協議会がシェリルをダンジョンに閉じ込めることに決めたのよ。その代わり、ダンジョン内にいるものは全て食べても良いと条件を付けてね。そのために、ドワーフがダンジョンをつくって、ダンジョンの奥に宝石や金貨をわざわざ用意して、定期的に冒険者が入ってくるようにお膳立てしたのよ」
冒険者はシェリルの餌だった? 一歩間違えると、俺も餌になっていたのだろうか? いや、俺は自ら自分の身体を餌にしたのだった。俺の左腕はシェリルの腹に収まったのだから。
しかし、シェリルがダンジョンに入った物は食べても良いという条件でダンジョンにいたのであれば、今のシェリルは?
「なあ、シェリルは勝手にあのダンジョンから出て良かったのか?」
「いいわけないじゃないの。このおバカちゃんはあたしたちとの約束を勝手に破って、出てきたんだから、他の連中は怒ってるわよ。だから、ワタリガが代表して、このバカを探してるのよ。当然、暴食抹殺のためにね」




