第39話 底辺テイマーはふたりの魔獣に褒められる
「ハズレって何よ! あんたにマックスの何が分かるって言うのよ!」
てっきり料理がこぼれたことに怒ると思っていた俺は驚いた。
シェリルの目には料理が目に入っていないようだった。
「はぁ? モンスターのいないテイマーになんの意味があるんだよ!」
「あんたに……」
「あら、あなたごときにこの人の何が分かるって言うの?」
シェリルの言葉にかぶせるような、涼しげな声が酒場の入口から聞こえてきた。
そこには上から下まで真っ白な美しい女性が立っていた。
「バカットン! ワタシのセリフを取らないで! そもそもなんで街にいるのよ!」
「ちょっと人を探してただけよ。たった今、見つかったけどね」
「あんたの探し人って、まさか……」
「ふふふ」
「ふふ、じゃないわよ。まさか、マックスを探して街に来たの? あんたが?」
ヘイルは急に現れた真っ白な美しい女性に不快感を表した。屈強な戦士である自分が、モンスターがいないとはいえ冒険者の男に文句を言われるならともかく、どう見てもか弱い美女ふたりが自分を無視して話し始めたのを見て、怒りを覚えた。
「なんだ、お前は」
シェリルと話していたハットンの肩を掴んで言うと、ハットンはあきれ顔で返した。
「あら、あなた、まだ居たの? 用がなければさっさと立ち去ってちょうだい。邪魔なのよ」
「なんだと、このアマ!! 女は黙ってベッドで股を開いてれば良いんだよ!」
「どうした、どうした」
ヘイルの怒鳴り声に他の冒険者達が何事かと近づいてきた。
「せっかくこの俺が、コイツに声をかけてやったのに、俺を馬鹿にしてきやがったんだ」
「何だと、せっかくのヘイルが同情してやっているのに、恩を仇で返しやがったのか。なんてひでえ連中だ」
「その上、俺が女子供に手を上げられないと知って、女どもをけしかけてきやがった」
「なんだと、そいつはひでえ奴だ」
「ちょっと待ってくれ!」
男達は俺の言葉を無視して好き勝手なことを言い始めた。
そのうちヒートアップした赤ら顔の男が叫びながら俺に殴りかかってきた。
「コイツ、よそ者のくせに生意気だ。やっちまえ!」
殴りかかってきた男は酔っ払っているのか、ふらふらしながら殴りかかってきた。それを俺が避けると、男はまだ、料理の残っている俺たちのテーブルにつっこんだ。
「ワタシの料理ーーーー!」
それに怒りをあらわにしたのは、当然のことながらシェリルだった。
半分も食べ終わっていない料理達は無残にも床に散乱してしまった。
「あはははは、床に落ちた料理見て泣いてるの。暴食」
「ねえちゃんはこっちでいいことしようか」
酔っ払った不潔そうな男がハットンに抱きついた。
それを見たシェリルが笑い始めた。
「あんたにはその程度の男で十分よ。災厄」
「何を!」
二人はにらみあった。
その二人に無謀にも文句を言う男がいた。
「俺を無視するんじゃねえ!」
ヘイルは二人を怒鳴りつけた。




