第36話 底辺テイマーは尾行されたことを告げる
ランリーに頼まれた品々を持ってきた俺たちは、ドワーフ達に歓迎されたのだった。
他種族に排他的なドワーフも一度、仲間と認められれば好意的だった。
「無事に戻ってきたな」
ランリーはにっこりとしながらも俺たちが戻ってくるのが当たり前のようにふるまった。俺たちが帰ってこないということも、他の人間を連れてくるなんてことも考えていないようだった。
荷物を確認して、引き渡しながら俺はランリーに聞いてみた。
「なあ、ここに他の人間を連れて来たらどうなる?」
「なんだ? 連れてきた者が信用できるかどうかで対応が変わるな。どうしたんだ? 誰か連れてきたい人間がいるのか? だが、まあ、あまり勧めはしないがね。よほどのことが無いと基本的には処分対象だからな」
「処分というのは?」
俺の質問にランリーは人差し指で自分の首を横に一文字を書いた。
死という意味だと俺にも理解できた。
「なぜ、俺は受け入れられた?」
「前にも言ったと思うが、誰にも懐かなかったあの馬鹿が、旦那だと言って連れてきたんだ。信用しないわけにはいかないだろう」
ランリーの言葉からすると、俺の信用はシェリルの信頼の上に成り立っているのか。
まあ、それは仕方が無い。短期間で、人を信用する方法などそう多くない。
そんなことを考えていると、ランリーが話しかけてきた。
「しかし、なんでそんなことを聞くんだ?」
「ああ、来る途中にどうやらつけられていたんだ。幸い、シェリルが追っ払ってくれて、ここの場所がばれるようなことはないから安心してくれ」
「そうか。だったら、来た街に戻るのは危険だな。つけてきた連中が何を考えているか分からないが、街に戻った途端、捕まって拷問にあうかもしれんぞ。人間の街は他にもあるだろう。そこに行った方が良くないか?」
拷問と言う言葉に、俺は魔柿猿を追い払ったのを勘違いされて受けた拷問を思い出していた。
たまたま領主が助けてくれたから良かったが、もしかしたらつけてきた連中は裏社会の人間かもしれない。そうなると、誰も助けてはくれないだろう。ランリーの言う通り、他の街に行った方が安全だろう。しかし……
「その方が安全だけど、あの船の進水式に立ち会うって約束をしたんだ」
「まあ、安心しろ。あの船は人間が分かるように設計を描いてやっているが、作るのにはどんなに早くても一ヶ月はかかるだろう。一ヶ月すればほとぼりも冷めるだろうから、その頃に戻れば大丈夫だ。いくらあんた達でもおかしな連中をこの街に連れてきたら、それなりのペナルティを覚悟してくれ。私も街の安全を守る必要があるからな」
そうか、あの船を作るのにはそんなにもかかるのか。だったら、それまであの街に近づかない方が良いだろう。それにシェリルにも言われたように
そうして、二、三日ドワーフの街に滞在した後、俺たちは別の街へと移動したのだった。




