第112話 底辺テイマーはジャカツの得意技を見る
勇者サルーンが突き出した聖剣から、光の剣が飛び出した。それは、サルーンに向かって飛ぶ、まがまがしい毒に彩られたジャカツの牙を叩き落したのだった。
そして、そのままジャカツの尻尾に向けても連続的に光の剣を繰り出す。
慌てたジャカツは身をネジって光の剣を避けようとするが、光の剣はジャカツの鱗を貫いた。
「ギャー!」
ジャカツは俺が聞いたこのないような悲鳴を上げた。
強い。
聖剣から発射される光の剣の射程がわからず、鋭い光の剣の切れ味。
初めにあったときに聖剣を持っていなくてほっとする。
これなら、ジャカツを倒せる。いや、倒してしまっていいのだろうか? いや、ジャカツから解毒剤を手に入れなければ、シェリルを助けられない。
俺はそっとハットンに近づいてささやいた。
「このままジャカツが殺されては、シェリルが助けられない。ジャカツが殺される前にジャカツを捕縛してくれ」
「それはいいけど、あいつがあれだけでどうにかなるとは思えないけどね」
ハットンの言う通り、ジャカツはサルーンから距離を取り、油断なく様子をうかがっている。そうかと思うと、いきなり口を開けて霧状のものを吐き出した。
毒か?
俺は目と口を手でかばいながら、ジャカツの目標であるサルーンから距離を取った。
結果、毒ではなかったが、その行動が俺を救った。
ジャカツは霧状のものを吹き出すとともに、自分の牙で火花を散らすと、霧状のものは盛大に燃え始めた。
まるで伝説に聞くドラゴンブレスのようだった。
それに対してサルーンは聖剣を体の前に構えると、見えない壁に守られているように炎を防ぐ。
しかし、ジャカツの炎を防ぐので精いっぱいのようだった。
ジャカツのプレスが収まるのをじっと耐えるサルーン。
その地面が裂けた。
距離を取り、二人の戦いを眺めていた俺は思わず声を上げる。
「なんだ!」
いつの間にか、ジャカツの尻尾が地面を潜り、サルーンの真下から襲い掛かったのだ。
悲鳴を上げ、宙に舞うサルーン。
その姿を見て、ハットンが俺に教えてくれた。
「ジャカツがよく使う手ね。ブレスで倒せればよし、ブレスを防いだり、避けてりして油断したところをあの尻尾が襲い掛かる。わかっていればどうといったことはないけど、ブレスの恐怖と見えないところからの攻撃で大体の人間は簡単に食らうわよ」
それは、今後ジャカツと戦うことがあるであろう俺に対して、同じ攻撃を受けないようにと、ハットンが俺に忠告をしてくれたのだった。
そして、宙に舞ったサルーンをジャカツの尻尾が追撃する。ジャカツの尻尾がサルーンの体に巻きついた。
「人間の勇者とやらも大したことがないじゃかつ。はっはっはっはっ」
圧死させるために締め上げながら、ジャカツは愉快そうに笑った。
その時だった。




