部活勧誘
「色々聞きたいことはあるんですけど、まず最初に、これって何部なんですか?」
よく見ると寺園先輩に連れてきたスペースの右側に木の板があり、そこには、墨汁で書かれた達筆な字で【日本文化研究部】と書かれていた。
うん、凄く綺麗な字だな。この字を書いた人は小さい頃から習字でも習ってたのだろうか?
「ここは色んな日本の文化を体験してもっと日本のこと良う知ろう!っていう部なんやで〜」
「なるほど」
色々な日本の文化に触れるのはいい事だし、自分の知識向上にもなりそうだな。特に入りたかった部活もないし、せっかく寺園先輩からお誘いを貰ったのだから入部しようかな、
「あ、あと部員って他に何人くらいいるんですか?」
「今はうちだけやで」
「・・・え?」
「あ、そやけどさっきもう1人1年生の子を勧誘して入部してくれるって言うとったさかい2人やな〜」
2人!?なんでそんなに少ないんだ?さっき1年生の子を勧誘して2人になったって事は、1年前までは寺園先輩1人だけだったのか。……でも例え多くは無いとしても数人は、入部希望者がいてもおかしくないと思うんだけど
「なんでそんなに少ないんですか?他にも入部希望者居そうですけど」
「そらうちが入部させるか入部させへんかを決めてるさかいやで〜」
寺園先輩が直々に入部させるか入部させないかを決めてるのか、
「なんでわざわざそんな事してるんですか?」
「ん〜それが去年までは普通に入部させとったんやけど入部希望者のほとんどが男の人でそのうちの大半がうちとおちかずきになりたいがために入部しとったみたいで、他の普通に入部しとった人も嫌になってもうたみたいでみんな退部して行ってん」
確かに寺園先輩は綺麗な人だ。でもここは学力が高い学校だぞ?そんな不純な動機で部活に入部しようと思うほど頭が悪いはずがない。
「確かに寺園先輩は綺麗ですけど他にもなんかあるんじゃないですか?」
「うちの家は住んどったところでは名の通った言うなればちょいした名家やで。ほんでこの学校は名門校やさかい、一般家庭の人と政治家の子供やらうちみたいに名家の子供やらが結構いんねん。それで学生のうちに婚約者を決めるように言われてる子供も結構いるみたいやで」
「だからそういう目的の人が沢山入部してきたのか」
やっぱり特別な事情がある人は大変だな、高校生のうちに婚約者を決めるなんて俺には到底出来そうにない。寺園先輩みたいな綺麗な人で尚且つ名家の生まれだなんてそりゃぁ放っておく人は少なくはないだろう。
「・・・でも俺なんかが入部していいんですか?」
「零くんは下心やら無さそうやし一緒に部活出来たら楽しい思て〜」
まさかここまで信用してくれる思わなかった。確かに寺園先輩になにか下心がある訳ではないけどこんなに信用されてて勧誘までしてくれてるんだ。さっきは特に考えずに入部しようとしていたけど話を聞いて変わった。この部を断る理由なんてない。
「入部させて貰ってもいいですか?」
そう言うと寺園先輩は顔をグイッと近ずけてきて嬉しそうに俺の手を両手でつかんだ。
「もちろん!おおきに零くん!これからよろしゅう」
う〜これは、少し恥ずかしい。こんなに正面から顔を見ることになるなんて、……でもやっぱり見れば見るほど整った顔をしていると思う。凄く穏やかな目をしている。まるでこの人は今まで誰も怒ったことなんかないんじゃないかと思ってしまうほどに。
「・・・あん〜2人ともお取り込みんとの少しよかか?」
「ん〜?あ、彩ちゃん!この子がさっき言うとったもう1人の部員の零くんやで〜」
そう言って寺園先輩は、手をパッと離し今来たこの方に駆け寄った。
この子がさっき言っていたもう1人の部員か。髪はショートカットで明太子のゆるキャラ?のようなヘアピンをしている。凄い変わったヘアピンだな、身長は少し小さめくらいか、でもどっかで見たような…
「初めまして!うち朝倉彩って言う!よろしゅうお願いします!」
そう言って頭をぺこりと下げる。
「あ、俺は如月零です。よろしくお願いします」
「・・・・・・って思い出した!朝倉さんって新入生代表で朝発表してたでしょ!」
そうだ思い出した!今日の朝スピーチしてたのも合格発表の時助けたのもこの子だ!
「あ!合格発表ん時に助けてくれた!」
向こうも思い出した様だ。
「あれ?2人とも面識あるん?」
「「はい!」」
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