拠点防衛の罠ががさっそく役に立ったおはなし 〇月15日(夜)
沢山の評価、閲覧ありがとうございます。これからも頑張っていきますので、ぜひ楽しんで行って下さるととても嬉しいです。
「さて、ライトの設置も終わったし…今度こそ休憩にしようか」
「本当に、ずいまじぇん」
夕食を騒がしく取った後、ライトの設置を忘れていた私は大急ぎで設置に取り掛かったのだけど…翠木さんが気を利かせており、既に2個ほど設置済みだったのだ。ぺこぺこっと謝りながら設置に取り掛かると気にしてないよ?と言ってくれたので助かりました。本当に申し訳ない。
「気にする事ないさ、忘れる事は誰にもでもあるだろう?」
「はいぃ…」
苦笑いしながら家に入っては紗那ちゃんが?っと言う顔してパジャマ姿でくつろいでいた。その後、説明しては紗那ちゃんも気が付かなかった事に申し訳なくなってたよ、本当にごめん!
「ああ、そうだ。二人も寝る時はトランシーバーと銃を持つように。凛華君も言ってたけど、嫌な予感がするんだ」
「は、はい…!」
「わかりました。私は大丈夫ですけど…紗那ちゃんのは準備してあるんですか…?」
勿論、と言って翠木さんが紗那ちゃんに手渡すは木製のフレームが特徴のライフル…倍率の高そうなスコープが乗っかってる
「銃の名前は…聞くかい?」
「え、えっと…お願いします」
「うん、Kar98k…カラビーナーとも言われてるのかな…?それにスコープを乗せただけさ。使い方は…下の防音室に行こう。凛華君は大丈夫かい?」
「大丈夫ですよ、部屋にちゃんとあるので」
「わかった。じゃ、紗那君に撃ち方を教えて来るから、一応準備しておくようにね?」
そう言って、紗那ちゃんと翠木さんは地下へ、私は部屋に戻り。長机の上にM4A1を置いて空のマガジンを一度填める。カチっと心地良い音がしてしっかりと固定された。爪の部分を押してはマガジンを取り外し。5.56弾を一つずつマガジンに詰めて行く、30発ずつのマガジン3本。これで90発だ。一本目のマガジンを再び差し込んではカチャンっと、チャージングハンドルを引っ張る。これで薬室に弾が送られた…はず、マガジンを外し薬室の弾を取り出してはしっかりと動作している事を確認する。よし、人でも出来た
「最後に…」
ホロサイトと言われる…四角い筒の様な物の電源を付け、中央に点がある事を確認する。うん、点いてる…
セーフティーは掛かってるけど念の為にマガジンを外して隣に置いておく。暴発は怖いからね…すると、コンコンと控えめなノックが聞こえた、ドアを開けると紗那ちゃんが居て。手にはしっかりと銃が握られてる
「お邪魔します…は、初めて銃を撃ちました…」
「あはは…私もそうだよ。もちろん練習だけど…」
衝撃で肩が痛かったとか、手が痺れたとか。そんな他愛のない話をしていると。気が付けば深夜、そろそろ寝ようかな…と思っていると既に紗那ちゃんはすやすやと寝ていた
「んー…ま、いっか」
寝顔をスマホに収めながら、私も眠りにつく事にトランシーバーは枕元に。翠木さんの嫌な予感が当たらない事を願いながら、おやすみなさい。
…
…
…
『凛華君!休んでる所すまない!』
紗那ちゃんの寝息をお子守唄に、眠っているとトランシーバーから翠木さんの声が響いた。がばっと、起き上がるとその衝撃で隣の紗那ちゃんもびくっ!と跳ねてもぞもぞと動きながら瞼を開けた
「凛華です。何かあったんですか…?」
『ああ、嫌な予感が当たったよ。塀の外に人間が三人。ゾンビではないね』
翠木さんの予想は大当たり、既に罠の電流は入れたあるのでこれに触れて逃げてくれればいいけど…
「わかりました、管理室に行けばいいですか…?」
『あぁ、音を立てずに。ゆっくり来てくれ』
翠木さんとの通信を切ると、隣の紗那ちゃんが不安そうに見て来た。大丈夫、ここは安全だよ。そう言う思いで優しく撫でた後、説明する事に
「翠木さんから、他の人がこの周りにいるみたい。念の為に銃を持って管理室に行こうか」
「は、はいっ…」
慎重にベッドから出ては、パジャマの上から防弾チョッキを着込み(警察や軍人のゾンビから剥いだ物)、銃を持って紗那ちゃんと移動する。紗那ちゃんもちゃんと武装してるし、心強い
「翠木さん、様子はどうですか…?」
「まだ、何も行動を起こしてはないね…強いて言うなら三人で話し合ってるみたいだ」
ガレージから水耕栽培室を抜け、ドアを開けると管理室。監視カメラなどの映像がリアルタイムで映し出される機材などが並んでいる部屋だ。部屋の中心にある椅子には完全武装の翠木さんが監視を続けていた
「その…この人達はいつから…?」
「つい5分前に現れて、ずっと周りにいるんだ」
そう説明する翠木さんは普段の温厚そうな雰囲気は消えており、なんて言うか…別人。そっか、これ軍人さんの顔なんだ
「取り敢えずはこのまま様子を見ましょう…問題なのはここを知られたのがまずいですね…」
「そうだね…もしも、彼らが先に攻撃をして来たのなら…やろう」
翠木さんは敢えて言葉を隠し、そう言った。紗那ちゃんは少し震えている、勿論…私もその言葉の意味は分かっている。やらないとやられるのだ…
「…有刺鉄線を切るつもりのようだね」
監視カメラの映像を見ていると、一人が小柄な人を肩車し、塀の上に届かせようとしている。小柄人の手にはハサミの様な物が握られていた
「…あ」
隣の紗那ちゃんが小さく声を漏らす。小柄な人間が有刺鉄線に触れた瞬間、バチンッ!と音がここに居ても聞こえ、肩車していた人も一緒にびくびくと震えているのが分かる。二人組はその場に倒れひくひくと痙攣しており、三人目がしゃがんで様子を見ているようだ
「…なんて言うか…ドッキリを見ている感じ」
「ふふ、確かにそうだね」
これには翠木さんも笑っていた、三人組はそそくさと慌てる様に闇に居て行った。先程までの緊張感はなんだったんだろうか…私の冷や汗を返せ
「よかった…帰って行きましたね」
「ああ、取り敢えず。今日は大丈夫だろう…問題は明日以降だけど…」
「交代に見張るのはどうでしょうか…?」
「うん、それがいい。私は一人で問題ないから…凛華君と紗那君で一緒に監視をしてくるかい?」
翠木さんの提案に二人で頷く。翠木さんにも休憩は必要だ…いや、むしろ一番必要なのかもしれない
「…?あぁ、大丈夫だよ。このぐらい」
そう言いながら翠木さんは明るく笑った。心配ないよっと、でも心配だよね?一番働いてるもの…
「じゃ…明日はゆっくり休憩する日にしませんか…?」
ナイスアイディア、紗那ちゃん。偶には寝て過ごしたいし…ゆっくり休める日があってもいいと思う
「うん、そうしよう!」
そのまま流れる様に決めては翠木さんにも納得してもらった。明日は休み!でも、武器の手入れとかはしてもいいかな…?
次回もお楽しみ!ではでは~