心臓が止まっても動くんですけど 〇月13日
雪月花でございます!今回は気分展開に書いてみました!
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
世の中は変わった…ルールが変わったのかもしれない。権力があっても頭が良くても、大金持ちでも、今の世は生き残れない。団結力?愛?信頼?…ううん、それら全ては映画やドラマ、ゲームの話。生き残るのに必要なのは…生存の知恵と決断力だ
「はぁ…もう一週間か…」
飾り気のないシンプルなホワイトカラーのスマホをテーブルに置いてはラジオのチャンネルをゆっくりと回す。殆どがノイズのひどい音がするが、時々だけど情報が手に入る
「ほんと、ついてないなぁ…お腹減った」
ぼやく様に呟いてはラジオを手放し、音を立てない様に窓際に近付きゆっくりとカーテンの端を摘み捲り上げる
「外、行かないとかな…」
目の前の窓から見えるのはうつろな目してユラ…ユラ…っと左右に揺られながらソレは道を徘徊している。それだけじゃない、車は横転していたり正面衝突をしてたり、後は壁に突っ込んでる
「んー…世紀末感全開だね」
カーテンを閉めてはいつかは来る家出の時、その時に準備していたリュックサックを手に取る、空腹で動けなくなる前に拠点を見つけなきゃ…この時の為に手帳にメモっていた情報を元に準備を進める、外は寒い、7月なのに…けど、ぼやいても仕方ない。寒いものは寒いのだ、厚手で革製の長袖ジャケットを着込む、下も同じ物。その上に赤黒い染みが大きく出来たYシャツやズボンを履く。これで奴らを騙せるらしい
「これでよしっと…あはは…こんなん着るようになったら私も末期なのかなぁ…」
鏡で自分の姿を見て苦笑いする、立体的なマスクを三重にして鼻や顔を覆い隠している、全身は革製の手袋やジャケット、ズボン。その絵に乾いた血の付いた衣服を着ているのだ、生れ付き髪の色が明るい青色なのが少し不安、なので髪を隠すように帽子を深く被る、うん。やばい奴の出来上がりだ
「よし、凛華…行こう。貴女なら出来る。餓死より良い最期を迎える為に…!」
双海凛華 20歳 女性 一人暮らしの大学生 兄弟姉妹無し 両親は他界
装備を整えてドアをそっと開けるとお隣さんが壁に頭突きを繰り返していた。そっか、私は運が良かったんだね。壁に頭突きをしているだけなのでそっと後ろを歩いてアパートの階段を下りて行く、先程のラジオから生き残る術の情報は書き出し、頭に入れた。例えばこの血の付いた服なんかそうだ、どう言う原理なのか分からないけど、ゾンビは生きた人間だけを襲う、つまり、音か匂いの何方かに反応すると考えたらしい…消臭剤があればそれでも良いらしいけど家になかったので頭の無い死体から血の付いた服を剥ぎ取ったのだ
「拠点…普通なら難民キャンプだよね。私は行かないけど」
パッと思い付く安全な場所、それは生き残った警察や軍、または自警団的な組織の運営する避難キャンプだけど、私は行こうとは思わない。なぜ?考え過ぎかもしれないけど、人間同士でいがみ合ってそうだから、あと私コミュ障
「うん、普通にいるんだよね。あ、軍の人だ」
足音を立てずに道を歩いているとやはりと言うべきか映画やゲームに登場する架空生物?(現在は実在)のゾンビさん達がうろうろしている、その中に自衛隊や警察、消防士の方々がちらほら見える
「…後で戻って来よう、あのゾンビから銃とか貰えるかも」
そう決めてスマホのメモに書き込んでおく、目指しているのは私のアパートの前にある中央通り、それの反対側にあるミリタリーショップを目指している。でも、道はゾンビでいっぱいだし、とても怖い。だから、この際は入れそうな家や庭を歩いて行く事にする
「よいっしょ…意外と登れるものだね」
そんな訳でアパートの敷地に引き返しては、隣のお宅に不法侵入、家主不在だけどね。家の裏あたりから入ったのだけど、家庭菜園?をしているのかな?手ごろなシャベルを見つけたのでそれを拝借する
「少し重いけど…突きも薙ぎも出来る。うん、強い」
ぐっと、シャベルを握りながらそろそろと家から家へ、庭から庭へと移動して行く。やがて、ゾンビが少ない個所を見つけたので反対側に向かう
「ふぅ…心臓が破裂しそう…でも、本当に効果あるんだね」
血の付いた服を見ては少し吐き気が込み上げて来る、ここで吐く訳にもいかず堪えては思い出さない様に頭を振るう
「しっかり、これぐらいで吐いてちゃ…」
ふぅ…と小さく深呼吸しては3km先のお店を目指す、慎重にゆっくりと歩みを進め、時々家の物を頂戴して歩いた。最近プレイしたゲームをリアルにするとこうなんだろうな…とか、現実逃避も仕掛けたけど、お腹も膨れたし喉も潤せた、現実を見よう
「遠かったな…自転車とか欲しいかも」
ようやっと視界にお目当てのミリタリーショップが見えて来た、でも、直ぐには入らない。何で?だって、バリケードが凄く頑丈だし、裏に回らないと入れるか分からないからだ。もし、人がいたら逃げよう…十字路の角にあるミリタリーショップ、その対角のお店に入り込み(うろついていたゾンビは頭を潰した)様子を伺う、バリケードの厳重な正面にはゾンビが押し掛けている、けど、バリケードが壊れる様子はない
「あれだけ襲われているのに反応がない…誰もいないのかな…?」
ゆっくりと警戒しながら裏側に回る、裏口を見つけてドアノブに手を掛け試しに軽く回してみる、やはりと言うべきか鍵が掛かっている。開けられそうにない
「むぅ…裏口は無理っと…あ、梯子」
屋上に向かう梯子を見つけると慎重に上って行く、屋上に上がると街の様子がそれなりに見渡せた、この建物は其処まで高くないようだ、飛び降りても足が痺れるぐらい?天窓が割れているのを見つけては中を覗き込む
「ん…誰もいない」
どうやら商品が置いてある場所は安全の様だ、近くの頑丈そうな室外機に頂戴した紐を括り付けて天窓から侵入する、割れたガラスで音を立てない様に注意してながら足を着いては姿勢を低くする
「血痕…誰かいるの…?」
背中とリュックサックの間に差し込むように入れていたシャベルを両手に持ち、店内をクリアリングする事に、会計カウンターと商品棚のある正面、会計カウンターの裏スタッフオンリーと英語で書かれている押戸を開けては血痕が倉庫の様な場所に伸びている。
「…ふぅ…よし」
そろそろっと、近寄ってはドアノブを捻りカチャっと小さな音を立ててドアが開く。足で軽く蹴っては開くドアの奥を見る。壁に寄り掛かる様にぐったりしている男性がいた、服装からして店員だろうか?手元にクロスボウが転がっており、顎から矢を打ち込み自殺したようだ
「…死体、か…」
近寄って確認すればやはり自殺、他殺じゃないから安心。だけど
「ごめんなさい…」
そう呟いては首に向かってシャベルを振り下ろす、その後は視界に入れない様にしながら倉庫を物色する
「えっと、リュックサックに缶詰め、ミネラルウォーターもある。この人一人でいたんだね」
着々と準備を進め、消臭剤も入手。本当に効くのか試してみた所どうやら効果はあるみたい、心臓には悪かったけど
・軍用バックパック
・服を一式(迷彩柄なのは我慢)
・缶詰やミネラルウォーター
・救急医療箱
・アルミ製のサバイバルアックス(片手用)
・クロスボウとアルミ製の矢
・ショットガンにショットシェル
大体こんな感じ、他にも色々と太腿に巻き付けたサブバックやポケットに入れてる、クロスボウを折りたたみバックの横に、ショットガンも同じくクロスボウの反対側に差し込む、結局銃は鍵の掛かってるケースに入っていたのでカウンターに入っていた防犯用を拝借した。念の為とサバイバルナイフを腰のフォルダーに収めて…準備良し!
「なんて言うか…戦争にでも行くのかな…?」
鏡の前で苦笑いする自分に溜息を吐きながらどんよりする。ネガティブになるのは良くない、でも仕方ない新しい寝床を探さないと…確か北は高級住宅。三階建ての建物とかあるかな?最悪、マンションとか…
気合を入れ直して、裏口の鍵を開ける、斧を持つと割と手に馴染んだシャベルが名残惜しい、小さくばいばいっとシャベルに手を振っては、何してんだろっと再び苦笑い、さて。生き残ろう
いかがでしょうか?続きは気が向けば書くかもしれません!