悪役令嬢
タブレットが告知する。
「勝利おめでとうございます。教会の封印が開放され死者も復活いたします」
「それでは引き続き塔の攻略を……ちょ、やめて、あんたの出番はまだ先よ、ぎゃーー!?」
……
……
歓声が止む。
「タブレットは告知するのじゃ! わらわが遊びにいくのじゃ! 待ってるのじゃ!」
タブレットがけたたましい音を出して止まった。
「アリス……ちょっと休もう……」
「きゅ……」
俺達は恵比寿達のところまで歩き始めようとした。
いきなり目の前には10歳位の少女が立っていた。
着物を来ている少女は金髪に碧眼、八重歯がチャーミングだ。
大人になったら凄い美人になるだろう……
ていうか、誰?
「はじめましてなのじゃ! わらわはフルモンティ! 我慢しきれなくて来てしまったのじゃ!」
少女は照れながらハルキ達を見る。
「えっと、フルモンティちゃんは、さっきタブレットに何かしたのかな?」
恐る恐るフルモンティに話しかける俺……
すごく残念な感じがする子だ……
「そうじゃ! 行くなってうるさいからボコったのじゃ!」
俺をジロジロみて「ほー」とか「おー」だか言っている。
「やっぱ実物は良いものじゃ! 気に入ったのじゃ! チビリそうじゃ!」
アリスと俺は少しづつ後ずさる。
この子はヤバイ。
頭が少し逝ってる。
関わるな! って頭が全力で言っている。
「あ、こら! どこへ行くんじゃ」
フルモンティが軽く手を振るう。
逃げようとした先の地面に亀裂が入った……
フルモンティはもじもじしながら俺を見つめた。
「それでな、ハルキにお願いがあるんじゃ……」
その可愛らしい見た目を裏腹に、その瞳は狂気を宿している。
「わらわをお嫁さんにしてほしいのじゃ! 一緒に暮らして子供を一杯つくるのじゃ!」
ドン引きだ。
ロリコンは恵比寿だけにしてほしい。
アリスが前に出る。
『いきなり現れて何をおっしゃっていますの! ハルキ様は私と冒険をするのですわ!』
『ぽっと出は引っ込んでいなさい!』
フルモンティが半眼になる。
「なんじゃ、汚いうさぎじゃのう……今夜はうさぎ鍋にするとしようかのう?」
「きゅーーーー!!」
威嚇するアリス。
「ふ、二人とも落ち着こうね……」
フルモンティはアリスを指差して俺に言った
「なんでハルキはこんな悪役令嬢と一緒におるんじゃ? こいつはヤバイぞ。暴走したらわらわでも止められないのじゃ」
「わらわが、今回のナイトメアモードの転生転移者一番ヤバイと思ったのは勇者でもハルキでもない、このアリスじゃ」
アリスは混乱している。
『フ、フルモンティ様、おっしゃる意味がわかりませんわ! 私はただのアリス。確かに誤解したり嫌われたりしたけど……』
フルモンティは呆れている。
「なんで普通に喋らないんじゃ?」
なんだって?




